2011年2月 2日 (水)

23年度税制改正大綱決定〈2月〉

23年度税制改正大綱決定

政府税制調査会は23年度の税制改正大綱案を決定しました。
法人税の減税の一部を個人富裕層への増税で補う形になっています。

1. 法人課税

 法人税率の減税 2011021
中小企業の年800万以下の所得については、23年4月1日から26年3月31日までの間に開始する事業年度については(  )内の税率を適用。

法人税の本税が前述のように変わることによって、税負担は次のように変わります。

(1)大企業…資本金1億円以上
 (旧率)法人税30% 地方税、法人税17.3% 事業税9.6%
2011022
 (新率)法人税25.5%になると
2011023_2
 すなわち 40.87-36.05=4.82パーセント程税率が下がります。

(2)中小企業(資本金1億円以下)
 中小企業は年間所得が800万円までにつき、法人税が上記のように軽くなっており、事業税も年所得400万円までは5%、400万円超800万円迄7.3%、800万円超9.6%と軽課部分があります。
これを基にすると中小企業の実行税率は以下の様になります。

中小企業の実行税率
2011024_4   
一昔前までは半分もっていかれるなどといわれていましたが、800万円までは75%までが残るようになってきました。
長の給与を増やすよりも減らして社内に残す方が有利な時代が来たようです。

2月 2, 2011 6.税務 |

2010年8月 3日 (火)

中小企業倒産防止共済の改正…掛金月額が8万→20万に引上〈8月〉

中小企業倒産防止共済の改正…掛金月額が8万→20万に引上

 経営をしている限り取引企業の倒産の危機はいつも直面している問題です。
経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)は、取引業者が倒産し、売掛金債権等が回収困難になった場合に、共済金の貸付が受けられる制度です。
概要は次の通りです。

1.毎月の掛金は税務上の損金扱いになります。
2.12ヶ月以上掛金を納付していれば、自己都合の任意解約でも
  掛金総額の80%以上の解約手当金が受取れます。
3.取引先事業者が倒産していなくても、事業資金を必要とする場合、
  解約手当金の95%を上限として、貸付が受けられる「一時金貸付」
  の制度もあります。

  「一時貸付金」  貸付金額30万以上
             貸付期間1年
             期限一括返済

  改正は次の通りです
1.共済金の月額掛金(5000円単位)限度額の引上げ
   8万円(現行)が20万円(改正後)に引上げ
2.共済掛金総額の限度額の引上げ
   320万円(現行)が800万円(改正後)に引上げ
3.共済金の貸付限度額の引上げ
   貸付限度額は掛金総額の10倍です。
   掛金総額が引上げられましたので貸付限度額も引上げられま
   した。
   3200万円(現行)が8000万円(改正後)に引上げ

  共済金の貸付額は次のいずれか少ない金額です。
  イ. 掛金総額×10倍
  ロ. 回収困難となった売掛金債権等の額

  共済金の貸付は、「無担保、無保証人」「無利子」ですが
  貸付金の10%が掛金総額から控除されます。

  平成23年10月までに施行される予定です。

8月 3, 2010 6.税務 |

2010年7月 4日 (日)

小規模企業共済、中小企業退職金共済の改正〈7月〉

   小規模企業共済、中小企業退職金共済の改正

〔小規模企業共済制度〕…個人事業主の配偶者、
                子供も加入対象に


(概要)小規模企業共済制度は個人事業主や小規模企業の役員の
         廃業、退職後の生活の確保のための制度で、「小規模企業
    共済法」に定められています。
    掛金は1人当り月額1,000円から70,000円までの間で自由に設定
    できます。
    掛金は「小規模企業共済掛金」として、加入者が支払い、加入
    者の所得から控除(経費として損金に算入されるのと同様の
    扱い)されます。
    廃業、退職後に受取る共済金は、一括受取りであれば「退職
    所得」となり、分割受取りであれば「公的年金等の雑所得」に
    なります。

(改正点)加入対象者の範囲が拡大
    現在は、個人事業者は事業主しか加入できませんが、個人
    事業主の配偶者、子供なども事業に従事していれば、個人
    事業主の「共同経営者」として扱うことで、配偶者や子も加入
    できるようになります。
    (法人の場合は配偶者、子も役員であれば加入できます)

〔中小企業退職金共済制度〕…個人事業主との使用関係があれ
                  ば
配偶者や子供も加入対象に

(概要)中小企業には退職金制度がないことが多く、従業員が退職
    した後、生活資金で困ることが多いので、「従業員のための
    退職制度」として定められています。
    掛金は使用者側(会社または個人事業主)が負担し、使用者
    の損金となり、従業員は負担することはありません。
    従業員が退職した場合は従業員の個人口座に振込まれます。
    加入者が受取る退職金は、一括受取なら「退職所得」、分割
    受取なら公的年金等の雑所得になります。

(改正点)現在は中小企業の従業員が同居親族のみの場合には、
    配偶者や子などは加入できません。
    制度改正後は事業主の事業に従事していれば加入できるよう
    になります。
    支出する掛金は個人事業主であれば必要経費に、法人負担
    であれば損金に算入されます。

(問)小規模共済、中退共のいずれにも加入できますか?

(答) 今のところははっきりしていませんが、どちらか一方にしか加入
   できない様になりそうです。
   また施行時期もまだ決まっていません。

7月 4, 2010 6.税務 |

2010年6月 3日 (木)

定期金の評価と小規模宅地特例改正〈6月〉

      定期金の評価と小規模宅地特例改正

 民主党政権が消費税引き上げをするために、金持ち優遇との批判の対象とされる相続税の増税を目論んでいるようです。
税増収との一石二鳥を狙っています。
 その前哨戦というわけではありませんが、22年度に相続税の重要な改正がありました。

1. 小規模宅地の特例の見直し

(1)住宅用宅地のうち、居住が継続されない場合の50%減額をなくす。 
   今までは被相続人の居住用の宅地を所有した者は、たとえその
   住宅に住まなくても50%の減額がされていました。
   しかしこの特例は、住居の継続に配慮した特例措置であるため、
   住居を継続しない場合には減額する必要はないとして削除され
   ました。

(2)事業用宅地のうち事業が継続されない場合の50%減額はなく
  なる。
   上記と同じ理由で事業を継続しない場合には、減額不要として
   削除されました。
   その結果50%減額対象になる小規模宅地は賃貸事業用宅地
   けとなります。

(3)一棟の建物のうち住居用と貸付用がある場合には、用途毎に判定
   宅地の上にある一棟の建物を住居用と賃貸用に供している
   場合。
   今までは全体が80%評価減の対象とされていました。
   しかしこれからは、用途毎に判定されるため、住居用80%と貸付
   用50%の対象毎に按分して適用されます。

2. 定期金の権利の評価の見直し

 長期間に亘って、定額の金額を支給する権利の評価は、支給を受ける金額総額に比べて低額に抑えられていました。
特に35年をこえる定期金については支給総額の20%という低い評価でした。
それを改めて次のようにしました。

(1)給付事由が発生している定期金の権利の評価
   イ、ロのうちいずれか多い金額
   イ.解約返戻金相当額
   ロ.定期金に変えて一時金の給付を受けることができるときは
     一時金相当額

(2)給付事由が発生していない定期金の権利の評価
   解約返戻金相当額

6月 3, 2010 6.税務 |

2010年5月 3日 (月)

グループ法人(完全支配関係法人)税制の制定〈5月〉

グループ法人(完全支配関係法人)税制の制定

 100%完全子会社と親会社間で取引をすると、連結納税制度を採用しない限り、個別法人間の取引であるとして課税されます。
しかし、グループ法人としての一体的運営という観点からすると、企業グループを一つの納税主体として考える方が、実体に一致するので、クループ法人間の取引について、新しい制度をつくりました。

1.帳簿価格1000万円以上の固定資産(建物、建物付属設備、機械、車輌)土地、売買目的以外の有価証券を譲渡した場合、売買差損益を繰り延べる。

(1)今までは100%完全子会社に対して上記の資産を売却して、
  譲渡利益または損失が出た場合、親会社の利益または損失
  として課税されていました。
  新法ではこの譲渡利益または損失は別表四で調整され、
  その資産がグループ外に譲渡されるまで繰り延べられること
  になります。
  同一の会社内で財産が移動したにすぎないという扱いにします。

(2)対象となる法人間の関係図 

 ●一の者が法人の発行済み株式等の全部を直接又は間接に保有
  する関係 

  【A図】 
  A_2          

 ●一の者との間に当事者間の完全支配関係にある法人間の関係 

  【B図】
  B

2.完全支配関係法人間の寄付金の二重課税の廃止

(1)対象となる法人…上図Aの関係法人間の取引が対象になります。

(2)完全支配関係法人に対する寄付金は従来通り損金不算入。
  寄付金とは金銭その他の資産又は経済的な利益を何のリターンも
  なく贈与または無償で供与することであり、これは従来から損金
  に算入されていませんでした。

(3) 完全支配関係法人から受けた受贈益は益金不算入
  従来はこの受贈益に関しては課税されており、二重課税になって
  いましたが、これを益金不算入とすることで、二重課税が排除さ
  れることになりました。
  これにより、赤字子会社の救済が容易になりました。

5月 3, 2010 6.税務 |

2010年1月 3日 (日)

インフルエンザ予防接種費用〈1月〉

インフルエンザ予防接種費用

 新型インフルエンザの感染者が1000万人を超えたということですが、相変わらずワクチン不足は続いており、混乱が生じているようです。
 ところでインフルエンザの予防接種費用は、接種をうける医療機関によって料金も異なり、2000円から5000円位とまちまちです。
このインフルエンザ予防接種の費用は、税務上どのように扱われるのでしょうか。

1. 個人が個人の負担で接種を受けた場合…医療費控除の対象外

 インフルエンザの予防接種を個人で受けた場合、この費用は、医療費控除の対象にはなりません。
 医療費控除の対象になるのは医師等による診療や治癒などを受けるために支払った費用です。予防接種は治療のためにするのではなく、予防のためにするものですからこの対象から外れます。
 人間ドックなどの健康診断のための費用が対象から外れるのと同じ理由です。

2.会社が接種費用を負担する場合

 従業員が一定の基準によらず、接種を希望する者全員が接種を受けることができるのであれば、従業員に対する福利厚生費となります。
この場合、会社が契約している医療機関等に限るような制限をせず、もよりの医療機関で接種を受ける場合であっても、接種費用が領収書等により、現金で清算されるのであれば、福利厚生費になります。
 これに対し、ある一定の役職以上の者というように何らかの基準が設けられ、その基準に基づいて予防接種の費用が支払われる場合は、支払われた予防接種費用は、従業員等に対する給与として取り扱われます。
給与として取り扱われれば、源泉徴収が必要となるだけでなく、その者が企業の役員であれば、法人税に規定される損金に算入できる役員給与には該当しませんので接種費用は損金不算入ということになってしまい、厚意がアダとなるということになってしまいます。
 予防接種は全員がかからないようにするのが目的なのですから、受けてよい人と、受けていけない人を選別すること自体が誤っているのであり、選別された人の費用が厚生費にならないのは当然です。

1月 3, 2010 6.税務 |

2009年12月 3日 (木)

レーシック手術と医療費控除〈12月〉

レーシック手術と医療費控除

 早くも年末調整の時期になりました。
年末調整の時、還付になる項目のうち最も高額になるものは医療費控除です。
医療費は病気にかかったうえ出費を強いられるので痛いものです。

 医療費控除の対象になるのは病気になった時の治療代ですが、病気治療とよべるか疑問なものに、視力回復手術の方法として広く行われているものにレーシック手術があります。
我が家でも四人が手術をし、近視が治ったと大喜びをしています。

 レーシック手術は目の角膜をレーザーで削り、角膜の形を変えて屈折率を変化させ近視や乱視を矯正する手術方法です。
手術は両目30分程で終えるうえ入院等も必要ないため、年々手術を受ける人が増加しています。

レーシックは医療費控除の対象

 レーシック手術に係る費用は保険適用外の医療費診療のため20万から50万円程度と病院によって差があります。
この手術の費用は医療費控除の対象になるのかが大きな問題ですが医療費控除の対象になります。
一般的には近視や遠視等を矯正する眼鏡やコンタクトレンズの購入費用は医療費控除の対象外とされていますので、レーシック手術に係る費用についてもこれと同様に取り扱われるものと考えがちです。
しかしレーシック手術は医師の診療に基づき医学的な方法で目の機能を回復させる“治療”に相当するため、所得税法73条で規定する「医師による診療または治療に必要な医薬品の購入」に該当します。
また医療費控除の対象になる医療費には「医師等による診療治療施術を受けるために直接必要な経費」が含まれるため、病院までの交通費やレーシック手術を受けるための検査代金についても医療費控除の対象になります。
 レーシック手術を受けた時、加入している保険会社から手術給付金が支払われるケースもあるようですが、この場合、給付を受けた保険金は控除しなければなりません。

12月 3, 2009 6.税務 |

2009年8月 3日 (月)

新型インフルエンザ対策のマスク購入費用の処理〈8月〉

   新型インフルエンザ対策のマスク購入費用の処理

 新型インフルエンザに関するニュースも下火になり、最近はほとんど報道されなくなりました。
パッと騒いでパッと忘れる日本人の性格をそのまま反映した様な今回の反応でしたが、また冬になって感染がはじまった時、どういう反応が出るか興味のあるところです。
ところで新型インフルエンザ対策で感染防止のためにマスクを一括購入し、従業員に配布した企業も多いようです。
中小企業の場合なら大した金額にはなりませんが1万人を超えるような会社の場合、1枚100円としても10日も配布すれば1000万円を超えますし、一括購入した金額も結構な金額になるようです。
ところで購入したマスクを全部使い切ってしまえば、それは費用処理できますが、ある程度の量が残ってしまったら、会計上どう処理するかという問題があります。

2つの処理方法が考えられます。

1.「非常用食料品の取扱い」と同じで、購入時の損金とする。

 国税庁HPにある「非常用食料品の取扱い」では地震などの災害時における長期保存が可能な非常用食料品については備蓄時に事業供用があったものとして、その時の損金の額(消耗品費)に算入して差し支えないとしています。
但し、事例では2~3年の非常用食料品となっています。
マスクの未使用分についてもこの非常用食料品と同様に新型インフルエンザの流行に備えるという意味で備蓄しているのですから購入時の損金にするというのが妥当であると考えます。

2.未使用分は期末棚卸資産に計上する。

①消耗品等の取得費用はそれを消費した日の事業年度の損金にする
 のが原則で、残った分は期末の棚卸資産に計上します。
②事務用消耗品のように、各事業年度毎に、おおむね一定数量を取
  得し、経常的に消費するものについては購入時の損金にします。
 購入したマスクは継続的に購入するものではなく、その事業年度に限
 って購入するのだから、事務用消耗品のような毎年一定数量を取得
  するものとは異なり、①の消耗品に該当し、期末計上するのが原則
 です。
 
 私としては、金額もたいしたことはないし、性格的にも非常備蓄と同様の損金処理でいいと考えます。

8月 3, 2009 6.税務 |

2009年7月 3日 (金)

裁判員等に支給される旅費、日当及び宿泊料は課税される〈7月〉

 裁判員等に支給される旅費、日当及び宿泊料は課税される

 裁判員制度が5月21日から始まりました。
すでに全国で295,027人が選ばれ通知がされています。
350人に1人の割合です。
裁判員候補又は、選任予定裁判員に選ばれると裁判所に出頭する義務を負い、審理に立ち会う等の職務を行うことになります。
そして一定の事由に該当しない限りは、その辞退を申し立てることができず、正当な理由がなく出頭しない時は10万円以下の過料に処するとされており、拒否するといろいろ面倒なことが起こりそうです。

 また殺人事件などを担当することにでもなれば、詳細な殺しの方法や被害者のその時の状況など不快な情報に接することになり、普通の神経の人には耐えられないことも想定され、失神する人やそれがトラウマになり一生苦しむ人も出てくることになるのではないかと気遣われます。

 裁判員等になるとその義務を履行することによって、出頭に要した旅費、宿泊費の他に、出頭しなければ別途得られた筈の収入がなくなるので、これらを一定の限度内で補償するため、旅費、日当を支給することとしています。
現在裁判員、補充裁判員については1日当り1万円以内、裁判員候補については1日当り8000円以内の金額で裁判所が定めることになっていますが、半日で終わる場合は半額程度の日当が支払われるようです。
また宿泊費については宿泊地により7,800円または8,700円になり口座振込みにより振り込まれ、源泉徴収はしないことになっています。

 この旅費、日当の税務上の扱いはどうなるのでしょうか。
結論としては下記の様に雑所得として課税されることになります。

①支給される総額を雑所得の総収入金額に計上する。
②裁判員等が出頭するために直接要した旅費等については
 雑所得を得るための必要経費とする。
③その結果 支給される総額-直接要した旅費等=雑所得

給与所得者の場合は
上記の方法で計算した雑所得の金額が20万円を超えなければ、確定申告の必要はありません。
その他の所得のある人は、雑所得の金額は他の所得と合算して課税されることになります。

7月 3, 2009 6.税務 |

2009年6月 3日 (水)

経済危機対策税制2つ〈6月〉

         経済危機対策税制2つ

 政府は「経済危機対策」として、需要不足に対応する観点から、高齢者の資産を活用した住宅取得の支援、中小企業の活動の支援に関する税制の定めをしました。
選挙対策と思われる種々のバラマキと同様に税制における対策も首をかしげるような対策が定められており、政府は一体何を考えているのかと疑わざるを得ません。

1.中小企業の交際費等の限度額を600万円に

 資本金1億円以下の法人の支出する交際費については定額控除限度額として400万円まではその支出額の90%が損金に算入され、400万円を超える支出については損金に不算入とされています。
 21年4月1日以後に終了する事業年度からはこの定額控除限度額を600万円に引き上げ、損金不算入限度額を600万×90%=540万円まで引き上げることとしました。
なお資本金1億円以上の法人の支出する交際費については今迄通り、全額損金不算入です。
 
 この法律は何のために制定されたか理解に苦しみます。
もともと交際費課税というのは民間企業が飲み食いして金をムダ使いして税金を納めないのはケシカランことで、冗費を慎み、資本を増強しようという趣旨で作られた税制です。それを、ムダ遣いをしろというのですから腑に落ちません。
それよりも70%を超える企業が赤字であり、昨今の不況のため、売上減・黒字縮小・赤字拡大のため経費節減に血眼になっている中小企業に向って、ムダ遣いの代表のような交際費の支出をしろと煽りたてるのですから一体何を考えているのかと訝ってしまいます。

2.住宅取得のための500万円までの贈与税を非課税

①平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に
②20歳以上の者が
③居住用家屋の取得に充てるために、直系尊属から受ける金銭の贈与で                
④500万円までは
  贈与税を非課税にするというものです。

この特例を適用すると
①500万円+贈与税の基礎控除110万円=610万円までの非課税か
②相続時清算課税制度を選択し3,500万円の現行枠に500万円を加算し4000万円の贈与税の非課税 
のどちらかを選択することができます。

6月 3, 2009 6.税務 |

2009年5月 4日 (月)

中小企業の法人税の税率の値下げ22%から18%に〈5月〉

 中小企業の法人税の税率の値下げ22%から18%に

平成21年度の税制は、本年の4月1日からスタートしました。
本年度の改正の中には昨今の不況の影響を緩和する目的で、中小企業に対していくつかの対策が盛り込まれています。
そのうちの1つが、中小企業に対する軽減税率の時限的引下げと、もう一つが中小企業の欠損金の繰戻し還付の2つです。

1.中小企業の800万円以下の所得に対する法人税の時限的引下げ

 (1)現在中小企業の年所得800万円以下の部分に対する法人税は、
  本来の30%ではなく軽減された22%が適用されています。
  これを更に4%引き下げて18%になります。

 (2)但し、21年4月1日から23年3月31日までの間に終了する、
   各事業年度の所得に限った時限立法です。

 (3)その結果、中小企業の800万円以下の所得に対する法人税、
  地方税、事業税は次のように4%以上下がります。

3_3   

2.中小企業の欠損金の繰戻し還付の復活

 法人の決算において欠損が生じた場合、その前年以前に利益が出ていた場合には、その欠損金の金額に相当する法人税を還付するというのが本来の定めでした。
しかし財政の悪化のため、税収確保の観点から繰戻し還付を停止しています。
しかし、昨今の経済不況に鑑み、中小企業に限って、資金繰りを支援するという目的で、繰戻しの制度を21年2月1日以後に終了する各事業年度から復活させることにしました。
 しかし、繰戻し還付を請求すると、欠損金の金額が正しいかどうかを調べるため税調査が入るので、通常は活用されません。

5月 4, 2009 6.税務 |

2009年4月 2日 (木)

特殊支配同族会社の役員報酬の期中減額〈4月〉

     特殊支配同族会社の役員報酬の期中減額

年明け以後国内の景気に関する情報は芳しくありません。
急激に業績が悪化されている方々の中には、役員報酬の減額
を考えている方もいらっしゃることと思います。
本年2月号で役員報酬の減額に関する国税局のQ&Aを取り上げました
が、再度検討することにします。

定期同額給与の減額が可能な場合として「経済の状況が著しく悪化したこと、その他これに類する理由」(令第69条第1項第1号ハ)と定められています。
通達ではこれを「経営状況が著しく悪化したことなど、やむを得ず役員給与を減額せ
ざるを得ない事情があることを言うのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値にたっしなかったことなどはこれに含まれないことに留意する」としています。(基本通達9-2-13)

これを読む限り、今回のような急激な景気悪化による経営の落ち込みがある場合には、役員の給与の減額ができそうですが、これに関して国税庁のホームページに出されたQ&Aを読む限り、そうはできないようです。
Q&Aによれば減
額できる場合として次の3例が掲げられています。

① 株主との関係上、業績や財務状況の悪化について、役員として
  の経営上の責任から役員給与を減額せざるを得ない
場合

② 取引銀行との間で行われる借入返済のリスケジュール(債務返
  済を繰延べるなどスケジュールを立て直すこと・リ
スケ)の協議で、
  減額せざるを得ない場合

③ 業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため取引等の利害関
  係者からの信用を維持確保する必要上、経営改善の計
画が策定
  され、これに給与の減額が盛り込まれた場合

①は株主との関係上経営責任をとらざるを得ない場合であり、主に公開会社を念頭においており、非公開会社や同族会社で経営者と株主とが親族関係にあるような会社は、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ特例の事情を具体的に説明することが必要としており、非公開会社には該当しないようです。

③はリスケとまではいかないけれど、資金繰りが悪化し、経営改善のため中長期の再建計画をたてる中で役員給与を減額するという様な場合です。
しかしこの場合も一律減額にしたほうが恣意性に乏しいという点で安心であり、特定の人
だけが極端な減額を受けて、他の人は減額なしということは、あまりしない方がいいようです。

4月 2, 2009 6.税務 |

2009年3月 4日 (水)

土地譲渡益の1000万控除と譲渡益の繰り延べ〈3月〉

   土地譲渡益の1000万控除と譲渡益の繰り延べ

 平成21年度の税制改正大綱の目玉は土地税制と中小企業の株式の贈与税及び相続税の納税猶予制度です。
中小企業の株式の相続税の納税猶予制度は本欄でも扱ったことがありますが贈与税についても新たに加えられました。
これについては今後詳細が決まっていくことと思いますので、決定次第詳しく扱う積もりです。
今号では土地譲渡益関係の決定についてお知らせします。

1.長期譲渡所得の1000万円控除…個人、法人とも対象

 法人または、個人が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に国内の土地を取得し、その土地を5年以上所有(売却等の1月1日現在)して売却し、譲渡益が出た場合には、譲渡益の金額から1000万円を控除する。
(譲渡益が1000万円以内の場合にはその譲渡益の金額)
これは以前、株価が低迷した時に株の譲渡益が制定されたものと全く同一の内容のものです。

2.平成21年及び22年に土地の先行取得をした場合の
  課税の特例…法人のみ
 
・事業者が平成21年1月1日から平成22年12年31日までの
 期間に国内にある土地等の取得をし、
・その取得の確定申告書の提出期限までに、この特例の
 適用を受ける旨の届出書を提出した場合、
・その土地を取得した事業年度終了後10年以内に、
・その事業者が所有する他の土地を譲渡した時に、
・譲渡益が出た場合には譲渡益の80%相当額(取得した
 土地が平成22年1月1日から12月31日までに取得された
 場合には60%相当額)を限度として、
・平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得
 した土地の取得価格を圧縮することができる。
  
何とも分かりにくい文言ですが、図にすると下のようになり、会社が所有しているどの土地を売っても、その譲渡益の課税を繰り延べするということです。

・ 平成21.22年の取得の土地 取得価格100,000千円
・ 取得後、他の土地を売却し、50,000千円譲渡益が出る

  21年取得の場合 50,000千円×0.8=40,000千円
  22年取得の場合 50,000千円×0.6=30,000千円

1

3月 4, 2009 6.税務 |

2009年2月 3日 (火)

役員給与の減額改訂のできる場合〈2月〉

      役員給与の減額改訂のできる場合     

 特殊支配同族会社の役員給与の税制は評判が悪く、税理士会や全国商工会議所からの廃止要望にもかかわらず、税額も大きいのか相変わらず存続しています。
 この中の定期同額給与は、株主総会後に決定された役員の給与は期中では、増額も減額できないという定めです。
但し、特別な場合については認めるとされており、減額を認める「業績悪化による改訂」として「経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」(基本通達9-2-13)として定められていますが、黒字の予想が赤字になったというようなことで認められるかどうかははっきりしていませんでした。
 この度この点についてQ&Aという形で公表されました。
しかし結果は予想以上に厳しいものでした。

 「経営の状況が著しく悪化したこと」とは財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけでなく、経営状況の悪化に伴い第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じている場合が含まれるとし、次の3つの場合を掲げています。

①株主との関係上、業績や財務状況の悪化について役員として、
 経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合


 同族会社のように株主が少数の者で占められ、役員の一部の者が
 株主と役員が親族関係にあるような会社については、役員給与を
 減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できる
 ようにしておくことが必要とし、単に赤字になった程度では認められ
 ないという姿勢です。

②取引銀行との間で行われる借金返済のリスケジュールの協議に
 おいて役員給与の額を減額せざるを得ない場合。


 取引銀行との協議状況等によりこれに該当することが客観的に
 判断できます。

③業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引等の利害
 関係者からの信用を維持、確保する必要から、経営状況の改善
 を図るための計画が策定され、これに役員給与の減額が盛り込
 まれた場合。


 利害関係者から開示等を求められたらこれに応じられるものが
 必要です。

 いずれの場合も上記にみるように役員給与の額を減額せざるを得ない客観的な事情を具体的に説明できるようにしておくことが必要です。

2月 3, 2009 6.税務 |

2009年1月 3日 (土)

裁判員制度の日当、旅費等の取扱い〈1月〉

       裁判員制度の日当、旅費等の取扱い

 裁判員制度が今年5月21日から施行されます。
どのような目的で、どのような討議を経て決定されたのかがはっきりしませんが、いよいよ始まることになりました。
私の知り合いの息子さんが、早速選ばれてしまったことを聞きました。

裁判員等に対して支給される旅費、宿泊費、日当等が税務上どう取扱われるかについて、国税庁から「裁判員等に支給される旅費、日当及び宿泊料に対する所得税法上の取扱いについて」が公表されました。

 結論としては以下のように雑所得として取扱われます。
裁判員候補者、選任予定裁判員については、1日当り8000円以内。
裁判員、補充裁判員については1日当り1万円以内と日当が決められており、裁判員の7割の事件が3日以内で終わると見込まれており、日当等の合計額が20万円を超えることは稀であると思われます。
 したがって給与所得以外に所得がなく、その給与が2000万円を超えないサラリーマンの場合には20万円を超えない限り申告不要で課税されませんが、事業所得者や不動産所得のある人は雑所得として課税対象になります。
サラリーマンの場合でも所得税については申告不要ですが地方税については申告不要の規定がないため、申告が必要です。

 理由は以下のように消去法的に説明されており、どれにも属さない雑所得という結論になっています。

●裁判員等に対して支給される旅費等の報酬は、実質弁償的なものであり労務の対価(報酬)の性質をもっていないので事業所得ではない。
●裁判員及び補充裁判員がその職務を遂行することは一種の義務であり、雇用契約またはそれに類する契約に基づいて行うのではないし、労務提供の対価として使用者から受けるものではないので給与所得ではない。
●実質弁償の性質をもつものであるので、対価性のない一時所得ではない雑所得の金額は、その年中の雑所得にかかる総収入金額から、必要経費を控除した金額であり、その年中に支給を受けた旅費等の合計額を総収入金額とし、実際に負担した旅費及び宿泊料の合計額を必要経費にして、その差額が雑所得となる。

1月 3, 2009 6.税務 |

2008年12月 2日 (火)

50%以上価格下落した有価証券の評価損〈12月〉

     50%以上価格下落した有価証券の評価損

 米サブプライムローンに端を発した金融危機は世界的な株価の暴落と、新興国からの資金流出による通貨の下落を引き起しました。
日経
平均も円の急騰におびえ一時26年振りの7000円割れとなりました。

 急速に騰張していた新興国の株式投信も、株価下落と通貨下落により大きく値下がりしました。
皆様の会社も株式投資や新興国投信を保
有されている方もいられることでしょうが、決算期におけるこれらの投資有価証券の評価損をどう考えたらいいかという問題があります。

 上場有価証券の評価損は「売買目的有価証券の価額が著しく低下したこと」という事実が生じ「その価額が帳簿価額を下回ることになった」場合に計上できます。(法令68①=イ)

 そして売買目的有価証券とは短期的な価格の変動を利用して、利益を得る目的(短期売買目的)の取引専任者が行う取引により取得したものと、短期売買目的で取引した旨を帳簿に明記したもので、有価証券のうち「取引所売買有価証券」と「店頭売買有価証券」と「その他価格公表有価証券」と定義されています。(法令119の13第1号から3第号)

 そのために売買目的外有価証券には適用されないのではないかと考えている方が多いと思います。
しかし法人税基本通達9-1-7の(注
)には、上記3つの価格の公表されている有価証券であれば、売買目的であるか否かは問わないと規定されているので売買目的外の有価証券でも評価損は計上できることになります。(何とも訳のわからない規定で困ったものです)

 近い将来価格の回復が見込めない評価損を計上するには「価格が著しく低下したこと」に該当することが必要です。
法人税基本通達9-1-7によると
①上場有価証券等の期末時価が期末時の帳簿価格のおおむね50%
  相当額を下回ること 
②近い将来その価格の回復が見込まれないこと 
2要素が示されています。
①の時価が簿価の50%を下回ることの判断は簡単ですが、②の近い将来価格の回復が見込まれないことというのが難問です。
近い将来とは1年以内をいうのか2年以内をいうのかはっきりしていませんし、価格の回復が見込まれないとは何を根拠にして
言えばいいのかなかなか難しいところです。
しかし、今般の世界的な金融混乱とそれに基く世界不況は1~2年は続くと考えられるので、思
い切って評価損を計上してみることも意味あることかもしれません。

12月 2, 2008 6.税務 |

2008年11月 3日 (月)

金、銀、銅メダル報奨金〈11月〉

            金、銀、銅メダル報奨金

 開催前は、大気汚染や民族問題等の報道が目立ったオリンピックでした。
大会中、ロシアが絶妙のタイミングで
グルジアに侵攻しましたが、大会そのものは中国の国威をあげ、中国国民も大満足だったようです。
日本選手は金メダル9個、銀メダル6個、銅メダル10個の合計25個を獲得しました。
オリンピックでの世界各国の成
績は潜在成長力の長期の先行指標として見ることができるといいます。
過去のメダル獲得数を国別に比べるとGD
P(国内総生産)順位とかなり相関関係があります。
北京五輪では米国が110個で1位、2位は中国で100個、上位10
カ国にはロシア、英国、オーストラリア、ドイツ、フランスなどが並び、2007年のGDP上位10カ国と6カ国が重なります。
食糧や生活事情、医療水準が決定的要素になります。
日本はメダル数でウクライナに負け10位には入れ
ませんでした。
なにやら未来を暗示している様です。

 ところで、日本選手がオリンピックでメダルをとった場合、メダルの色に応じ、金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円が報奨金として財団法人日本オリンピック委員会から支払われます。
この報償金は課税さ
れるのでしょうか。⇒ 課税されません。
租税特別措置法第41条で「オリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法
人日本オリンピック委員会から交付される金品で財務大臣が指定するものについては所得税を課さない」とされています。
 これはバルセロナオリンピックの水泳で金メダルを獲得した、当時中学2年生の岩崎選手に支払われた報奨金が
一時所得に該当するとして課税されたことが報道されたため、その後の法改正で現在のようになりました。
 しかし、選手が所属する企業団体から、メダル獲得やオリンピックでの活躍を理由に報奨金を支給される場合は
、「オリンピック委員会から交付される金品」ではないため、所得税が課税されます。
一時所得ですから(支給金額-50万円)×1/2が課税対象となります。
1_2

       北京オリンピックのメダル         裏面(ヒスイが埋められている)

11月 3, 2008 6.税務 |

2008年10月 3日 (金)

事業承継者取得株式の課税価格の80%が納税猶予〈10月〉

  -事業承継者取得株式の課税価格の80%が納税猶予-

 「中小企業の経営の承継の円滑化に関する法律」については前回お知らせしましたが、その一環として税制面では、平成21年度の税制改正で、事業の後継者を対象とした「取引相場のない株式等に係る相続税の猶予制度」が創設される予定です。
この制度はまだ大枠しか固まっていませんが、次の様な制度です。

Ⅰ.事業承継相続人の取得株式に係る課税の80%の相続税の
     納税猶予


 事業を承継する相続人が相続等により株式を取得し、その会社の経営を承継する場合は、その事業承継相続人が納付すべき相続税額のうち取得した議決権株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予するというものです。

Ⅱ.猶予制度を受けるための要件

(1)被相続人(死亡した人)の要件

 ①非上場会社の代表者であった。
 ②被相続人と同族関係者で発行済株式総数の50%超の株式を保
  管し、かつその同族関係者(事業を継承する相続人を除く)の中で
  筆頭株主であった。

(2)事業承継相続人の要件

 ①経済通産省の確認を受けた会社の代表者である。
 ②発行済株式等につき同族関係者と合わせてその過半数を保有
  し、かつその同族会社関係者の中で筆頭株主である。      
 ③相続等によりその会社の株式を取得しその会社を経営してい
  こと。

(3)対象株式の要件

 その会社の発行済議決株式の総数の3分の2に達する部分までで、医療法人の出費等は含まれません。

(4)5年以内の納税猶予の打切り

 事業承継相続人につき、次の事項に該当しなくなったときは、事業継続要件を満たさなくなったものと判断し、猶予税額の金額を納付しなければなりません。
 
 ①代表者であること
 ②経済通産大臣の確認時の雇用の8割以上を維持していること
 ③相続した対象株式のすべてを継続保有していること

(5)5年経過後の譲渡による納税猶予の打切り

 5年経過後に、納税猶予の対象となった株式を譲渡した場合は、譲渡部分に相当する納税猶予額を納付しなければなりません。

10月 3, 2008 6.税務 |

2008年9月 3日 (水)

中小企業における経営の継承の円滑化に関する法律〈9月〉

 ―後継者取得の株式等に関する遺留分算定に関する合意等―

 中小企業の事業継承の円滑化にための総合的支援策として、遺留分の制約の解決のための民法の特例や事業継承円滑化のための金融支援を盛り込んだ「中小企業における経営の継承の円滑化に関する法律」が本年5月9日に成立し、平成20年10月1日から施行されます。
この法律は事業継承を考えていらっしゃる中小企業については非常に重要
な法律です。以下少々長くなりますが解説します。

Ⅰ 民法の遺留分制度

 現在の民法の遺留分制度は配偶者や子に民法上保障される最低限の資産継承の権利で、被相続人の財産処分(生前贈与、遺贈、遺言等)によって遺留分を侵害された者が遺留分減殺請求を行うことにより財産の返還や金銭による価額弁済を受けることがきる(直系尊属は法定相続の1/3子配属者は1/2)という相続人の権利です。

Ⅱ 現行遺留分制度の事業継承に係る課題

 ①遺留分減散請求による自社株式や事業用資産が分散します。
  中小企業経営者の個人資産の大部分は自社株式と事業用資産
  です。
  先代経営者が後継者に自社株式や事業用資産を生前贈与し経営
  の安定を図ろうとしても、相続財産の中に占めるこれらの財産の
  割合が大きいと、非後継者の遺留分を侵害することが起こります。
  もし非後継者から減殺請求を受けると、相続人間で自社株や事業
  用資産が分散し、後継者の所有する議決権割合が低下し、経営が
  不安定化します。

 ②遺留分算定の際、生前贈与された株式は相続開始時の価額で
  評価されます。
  遺留分算定の時に加算される贈与財産の価額は相続開始時の
  評価です。
  後継者に生前贈与された株式の価値が後継者の貢献により上昇
  した場合であっても、遺留分の算定に際しては、後継者の貢献を考
  慮することなく、相続開始時点の価値上昇後の評価で計算されま
  す。
  このため株式の価値を上昇させればさせる程、非後継者の遺留分
  の額を増加させることになり、企業価値を増加させようとする後継
  者の意欲を阻害させます。

 ③現行の遺留分事前放棄による対応では限界があります。
  現行民法でも、遺留分事前放棄制度(民法1043)はありますが非後
  継者が各自個別に家庭裁判所に申し立て許可審判を受けなけれ
  ばならないなど煩瑣(はんさ)です。

Ⅲ 経営承継円滑化の骨子

 今回成立した民法の特例法は、現在の中小企業の事業継承についての問題点を解決するために作られました。

(1)旧代表者の推定相続人全員が、書面で遺留分の算定に係る
  以下の合意を行うことができます。

 ①自社株式の分散対策…後継者が旧代表者からの贈与等により
   取得した株式等については、遺留分算定の財産の価額に算入
   しないこと。
   (除外合意)
 ②生前贈与された自社株式が相続時評価されることに対する対策…
   後継者が旧代表者からの贈与等により取得した株式について
   は、遺留分算定の財産の価額に算入すべき価額を合意の時
   の価額とする。
   (固定合意)
  ③事業用資産(土地・建物等)を守るための対策…後継者が旧代表
   者からの贈与等々により取得した株式等以外の財産について、
   遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと。
   (追加合意)
   これにより株式等以外の財産で事業活動を継続していくために
   必要な事業用不動産などを後継者が確保できる。
  ④後継者と非後継者とのバランス維持のための対策…非後継者が
   旧代表者からの贈与等により取得した財産につき、遺留分算定
   のための財産の価額に算入しないこと。(追加合意)

Ⅳ 特例の対象者

 この特例の適用を受けることの出来る人は以下の条件に適合する人です。

  ①一定期間以上継続して事業を行っている非上場の中小企業者。
  ②先代経営者(旧代表者)の生前に、推定相続人である後継者に
   株式等の贈与が行われている。
  ③当該後継者は当該中小企業の株式の議決権の過半数を有し、
   代表者として経営に従事している。
   但し、後継者が議決権株式の過半数を既に所有している場合
   は、対象から外れる。

Ⅴ 経済通産大臣の確認及び家庭裁判所の許可

  Ⅳの合意は経済通産大臣の確認及び家庭裁判所の許可審判を受けることでその効力を発します。

9月 3, 2008 6.税務 |

2008年8月 3日 (日)

30万円未満のリース資産は一時の損金算入可能〈8月〉

 平成20年4月1日以後の所有権移転外リース資産は、減価償却資産として資産に計上し、リース期間中に定額法で償却することになりました。
 リース資産が減価償却資産になることに伴い、平成19年度改正で10万円未満や使用可能期間1年未満の資産を一時の損金に算入できる「小額の減価償却資産の取得価額の損金算入」と20万円未満の資産を3年で全額損金算入できる「一括償却資産の損金算入」の2つの規定は、リース資産を適用除外としました。
そのために、これらに該当する資産であっても、リース資産については、たとえ取得価額を資産に計上しても、上記の特例を適用することではできなくなりました。
 一方租税特別措置法には中小企業を対象とした「中小企業者等の小額減価償却資産の特例」があります。
これは総額300万円を限度として取得価格が30万円未満の減価償却資産を一時の損金算入にできる制度です。
平成20年度改正では適用期限が2年延長されて、平成22年3月31日までの取得した資産について適用できることになっています。
 この「30万円未満の減価償却資産の特例」は、条文上リース資産を対象資産から除外していません。
したがってリース資産の取得価格を固定資産に計上すれば、その金額が30万円未満で、購入資産と同じ様に一年間で合計300万円の範囲内であれば、一時の損金として処理することができます。
リース代金は未払金として毎月処理していくことになります。
リース資産だと自己の所有でないので一括損金算入はできないと思いがちですが、税法が会計と同じように資産計上を認めることになったため、リース資産もこの対象になったわけです。

8月 3, 2008 6.税務 |

2008年7月 2日 (水)

再リース料は会計上・税務上とも原則賃借処理〈7月〉

 再リースとは、当初のリース期間の満了後もリース資産の使用収益を継続することで、一般的には、1年契約で基本リース料(年額)の12分の1程度の再リース料を支払います。
 この再リースについては、平成20年4月1日の開始事業年度から、強制適用されるリース会計基準では次のようになっています。

①再リース期間については、そのリース取引の状況からみて、
 借手が再リースを行う意思が明らかな場合を除き、解約不能の
 リース期間に含めません。
②リース資産の償却年数は、原則リース期間を耐用年数とする
 こととされ、再リース期間をリース期間に含めている場合には
 再リース期間をその耐用年数に含めます。
③再リース期間を耐用年数に含めない場合の再リース料は
 発生時の費用とします。

 つまり、会計上ではリース取引の判定時おいて再リースする意思が明らかな場合はリース料総額に含めて処理し、そうでない場合は賃借処理をすることとしています。

 一方税務上の取扱いは「再リース料は、原則として、リース資産の取得価格に算入しません。ただし、再リースすることが明らかな場合には、その再リース料の額はリース取得価格に含まれる」とされています。
(基本通達7-6の2-9)
これは会計上の①、②の取扱いと同様であると考えてよく、税務上は基本リース期間が満了したのちの再リース取引については、売買取引であるリース取引の範囲外という取扱いになります。
したがって取得価格に含まれない再リース料については支払ったリース料を賃借処理できるオペレーティングリースと同じ賃借をすることができることになります。

 改正前の法人税基本通達(旧基本通達12の5-2-15)でも取得価格に含めなかった再リース料については「そのリース資産の維持費に相当するものとして支払うべき金額が損金の額に算入される」とされていました。

7月 2, 2008 6.税務 |

2008年6月 2日 (月)

従業員の使い込みの貸倒処理〈6月〉

(問)当社では従業員による多額の使い込みがありました。
  その従業員は現在行方不明です。
  そこでその親族との間で月々一定額の弁済をする旨の契約をし、
  これに基づき弁済を受けています。
  しかし契約通り返済を受けても10年以上かかります。
  そこでいったん貸倒れ処理を行い、月々の返済額を収益に計上
  する処理をしたいのですが税務上認められるでしょうか。

(答)法人の有する金銭債務につき債務者の資産状況、支出能力等
  からみてその金額が回収できないことが明らかになったものは
  貸倒れ処理ができますが(法人税基本通達9-6-2)当事例は
  金額が回収できなくなったわけではありませんので貸倒れ処理は
  できません。

(解説)質問の趣旨は従業員の横領に係る損害賠償請求権は本人
  が行方不明であるので、事実上の貸倒れ処理を行い、親族から
  の弁済額は実際に支払を受けた時の収益に計上することが税
  務上できるかということです。
  法人が損害賠償の基因となった損害に係る損失については、
  その損害の発生した時点で損金算入し、損害賠償金は実際に
  支払を受けた時点で収益計上することとしているときには、これ
  を認めるという法人税の取扱いがあります。
  (法人税基本通達2-1-43)
  しかし、損金算入と益金算入との対応関係を切断してよいとする
  この取扱いは、他の者の不法行為や債務不履行などによって受
  けた損害は、当該他の者に対して損害の請求をし、その者から
  賠償金の支払を受ける場合に適用されるものであり、法人の役
  員や従業員に対する損害賠償請求には適用されません。
  この事例のような親族からの弁済については、それが身元引受
  人の義務として行われるのかわかりませんが、これを不法行為
  または債務不履行に係る損害賠償請求の収受とみることには
  無理があるので、この取扱いの考え方を援用することはできま
  せん。

6月 2, 2008 6.税務 |

2008年5月 2日 (金)

過去の残業代を一括清算した場合の法人税、所得税の扱い〈5月〉

 店長は管理職として残業代を支払っていなかったマクドナルドに対し、店長の権限からみて、店長は管理職にあたらないとして過去の残業代の支払を命じた裁判の判決がありましたが、この判決は流通や外食企業の多くに警鐘を与えたようです。
 ところで過去の残業代の清算を行った場合、その支払った残業代をいつの年度の損益に計上すべきか、という問題があります。
たとえばサラリーマンに対し、過去2年分の残業代100万円(平成17、18年分、各50万円)を平成20年3月に一括支給した場合、法人税所得税でどうとり扱ったらよいかということです。

■法人税は支払った時の費用

 過去の残業代を一括支給した場合、法人税では過去の費用として遡って修正はせず、支払った期の費用として計上します。
上記の場合、合計100万円は平成20年度の費用となります。
これは法人税法22条で「事業年度の収益の額、及び損金の額は一般的に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算するものとする」とされ、企業会計では、過去の事業年度に係る損益については遡って修正せず、当期の損益として認識するためです。

■所得税では契約等で規定された時の所得

 一方、所得税では契約等で支給日が定められている給与は、「本来収入すべき時の所得」となるため、過去の残業代は所得として遡って修正することが必要です。
上記の場合でいえば、平成17、18年分として、既に申告納付されている給与や税額に不足があったことになります。
そのため給与を支払った源泉徴収義務者は、残業代を支払った時点で、その者の平成17、18年分の給与の計算をやり直し(年末調整のやり直し)を行い、既に納めた税額と残業代込みで算出した平成17、18年分の所得に対する税額との差額を、残業代を支給した時の翌月(当事例では平成20年4月10日)までに納付する必要があります。
 また過去の残業代を一括支給した給与の支払者は、所得税の源泉徴収票を出し直すとともに、住民税についても、給与支払報告書を各自治体に提出しなければなりません。市町村では、この支払報告書をもとに賦課決定を行い、各人に納税通知書を送り、各人がこれを納付することとなります。 

5月 2, 2008 6.税務 |

2008年4月 2日 (水)

上場株式の配当所得と申告不要制度〈4月〉

  米国のサブプライム問題を発端とする世界の金融不安のため、世界中の株価が下落しています。
特に日本株は世界の中で際立って、パフォーマンスの悪いものとなっています。
そのため配当利回りは高まり、貯蓄に比べてはるかに有利なものとなってきました。
上場株式の配当所得に対する株式の申告不要制度と源泉徴収とが次ぎのように変わることになっています。

1.大口株主(5%以上所有)以外の人の受ける配当所得

 ①現在 所得税7%地方税3%の合計10%

 ②21年1月より22年12月31日まで
  ・配当金の合計額が100万円以下のもの
   (年配当額1万円以下を除く)
    所得税7%、地方税3%の合計10%(現行と変わらず)
  ・配当金の合計額が100万円を超えるもの
    所得税15%地方税5%の合計20%

 たとえば年間に30回、1銘柄5万円の上場株式の配当150万円を受けた場合、全ての配当金額が10%の源泉徴収をされるだけです。
しかし、平成21年以後は配当金100万円以下の部分は10%で、100万円を超える50万円の部分は20%で所得税額を計算し(申告分離課税を選択していても)確定申告をしなければなりません。

 ③23年1月1日より
   全ての配当所得が所得税15%地方税5%の合計20%の
   源泉徴収をされます。

2.上場株の大口株主及び非上場株式の配当所得

   所得税20%地方税0%の合計20%の源泉徴収をされます。

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4月 2, 2008 6.税務 |

2008年3月 2日 (日)

事業承継税制見直し案の対象の中小企業の範囲〈3月〉

 前月号で平成20年の自民党の税制改正大綱で、一定の条件に合致する中小企業の事業承継者の取得した非上場株式については、相続税の80%を納税猶予することが打ち出されたことを掲載しました。

この事業承継税制の見直しについては、中小企業が対象とされますが、この中小企業の中にはどんな会社が含まれるのでしょうか。
税務では中小企業とは「資本金の額、若しくは出資金の額が1億円以下」の会社(大規模法人の子会社等を除)を言います。
しかしこの事業承継税制の見直し案では「中小企業基本法」に定める中小企業を対象としています。

■中小企業基本法の中小企業

 中小企業基本法では中小企業とは次の様に定められています。

①製造業、運輸業、建設業、その他の業種
  ……資本金の額または出資金の総額が3億円以下
     または従業員が300人以下の会社
②卸売業
  ……資本金の額または出資金の総額が1億以下
     または従業員が100人以下の会社
③小売業
  ……資本金の額または出資の総額が5000万円以下
     または従業員数が50人以下の会社
④サービス業
  ……資本金の額または出資金の総額が5000万円以下
     または従業員数が100人以下の会社

したがって、上記の資本金基準、従業員基準のいずれかを満たせば、税法でいう中小企業の中に含まれることになります。

もっとも、これらの基準はあくまでも原則であり、ここで定義されていないものであっても、他の法律等で中小企業と扱われている場合は、中小企業基本法上の中小企業に含まれることになります。

3月 2, 2008 6.税務 |

2008年2月 2日 (土)

中小企業の事業承継に朗報-取引相場のない株式にかかる相続税の納税猶予制度-〈2月〉

 自民党は12月に来年度以後の税制改正の内容を取りまとめ「平成20年度税制改正大綱を公表しました。
この中で従来から中小企業の事業承継について課題であった「取引所の相場のない株式等にかかる相続税の納税猶予制度」の創設がいよいよ実施になることが盛り込まれました。

 制度の概要は次のようなものです。
「中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律」(仮称)の制度を踏まえ、平成21年度税制改正において、事業の後継者を対象とした「取引相場のない株式等にかかる相続税の納税猶予制度」を創設し、施行日(平成20年10月の予定)に遡って施行される。

1.軽減割合:相続により取得した議決権株式等に係る課税価格の
        80%に対応する相続税額を納税猶予する。
       (発行済議決権株式の総数の2/3に達するまでの部分)

2.適用要件:事業承継相続人が会社を経営していた被相続人から
        相続により株式等を取得し、その会社を経営していく
        場合
 ①事業承継相続人
  ―「中小企業の継続の円滑化に関する法律」で経済通算大臣の
  承認を受けた一定の中小企業の発行済株式等につき、同族関
  係者とあわせその過半数を保有し、かつその同族関係者の中で
  筆頭株主である後継者
 ②会社を経営していた被相続人
  ―その会社の発行済株式等につき同族関係者(事業承継相続
  人を除く)の中で筆頭株主であったことを要する

3.猶予税額の免除
       その事業相続人が納税猶予の対象となった株式等を
       死亡の時まで保有しつづけた場合など一定の場合には
       猶予税額を免除する

4.猶予の取消
       事業承継相続人が相続税の法定納期限から5年間の間
       に代表者でなくなる等事業を継続していないと認められ
       る場合には、その時点で猶予税額の全額を納付する

5.株式の譲渡
       相続税の納期限から5年を経過後に納税猶予の対象と
       なる株式を譲渡したときは、その時点で猶予の対象と
       なった株式の総数に対する譲渡株式の総数の割合に
       応じた猶予税額を納付する

6.対象株式の担保
       適用を受けるには猶予の対象となった株式の全てを
       担保に供する

2月 2, 2008 6.税務 |

2008年1月 2日 (水)

住宅ローン控除-所得税で控除できない分は住民税減額〈1月〉

 今年は税源移譲による所得税と住民税の税率の変更がありました。
所得税が減って、住民税が上がりました。
所得税の減額は2007年1月からで、住民税のアップは6月からで、時期のちがいはありますが、所得税と住民税を合わせた年間の税額は変わっていません。
従ってトータルでは増税でも減税でもありません。
マスコミは下がった分は言わないで、上がった分の負担感増のみをまくしたてますが、相変わらずの偏向癖です。

■住宅ローン控除

 所得税と住民税の総額は変わりませんが、これによって影響を受けるものがあります。住宅ローン控除です。
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで一定の要件を満たす住宅を購入した時、ローン残高に応じた一定額を所得税から控除する仕組です。
控除率は税制の変更により、住み始めた時期により異なりますが、年末のローン残高の一定%が一定期間控除されます。
住宅ローン控除は算出された全額を税額から減らす税額控除が大きいという特色があります。
今回税源移譲で所得額が減ったため、ローン控除額を所得税額から控除しきれない人が出てきます。

■住民税の減額申請

 例えば年収700万円のサラリーマンで昨年の所得税額が33万円で、住民税額が24万円の場合、住宅ローン控除額が27万円あると、この分は33万円の所得税額から差引くことができました。
ところが税源移譲で所得税は23万円、住民税は34万円になりました。
ローン控除額が26万円だとすると、所得税の23万円から控除しきれない3万円が残ってしまいます。
そこで1999年から2006年までに入居し、住宅ローン控除を受けられる人で、所得税額から控除しきれない金額が生じる場合は、その分を住民税から差し引くことのできる、救済措置がおかれています。

 この適用を受けるためには、「住民税減額申請書」に源泉徴収票を添えて市町村の税務担当窓口に提出しなければなりません。
(確定申告をする人は税務署に提出)この手続は減額を受けるたび毎年必要となります。
そこでローン控除を受けている人は、金融機関から送られてきたローン控除証明書で年末の残高をチェックし、年末調整に使う「住宅借入金等特別控除申告書」で控除額を求め、これと会社から受け取る源泉徴収票の「源泉徴収税額」を比べ、控除額が多ければ住民税減額の手続きが必要です。

1月 2, 2008 6.税務 |