2011年1月 2日 (日)

現場からの報告〈1月〉

百年企業を目指して…その5(最終回)

 前回迄に、事業会社からその不動産部分を切り離して別会社をつくるに際し、事業会社の100%子会社にしないで事業会社の株主に無税で株を持たせることのできる分離型分割をしたことと、新しく作った不動産会社に社長親族の土地、建物を売却し、その代金を社債に代えたことを記してきました。
この項の最終回は、会社が社債―これを少人数私募債といいます―について述べます。
少人数私募債は株式会社であれば、誰でも発行できます。
その特色は次の通りです。

(発行者)普通の社債は銀行を介在させますが、少人数私募債は株式会社であれば誰でも銀行抜きで発行できます。

(社債応募者)会社に縁のある人(特別縁故者という)です。たとえば親族、社員、取引先など、皆顔の見える関係の人です。

(社債購入者数)49人迄―少人数私募債といわれるゆえんです。

(募集総額)5億円未満―5億円以上だと大蔵省に対して種々の届出をする必要がありますが、5億円未満だとその必要はありません。

(社債管理会社不要)社債発行するには社債の管理を行うために社債管理会社を定めなければなりませんが、社債総額を社債最低額面で割った数が50未満の場合は管理会社を置く必要はありません。
総額5億円未満なら、例えば最低額面が100万円なら49名で4,900万円、200万円なら49名で9800万円迄、募集することができます。

(社債の利息の期間)・社債の償還期間は5年でも10年でも構いません。償還期間が来たら償還金で再度発行することもできます。
金利は5%前後です。現在の金利水準から考えれば大変な高金利です。

(社債権者のメリット)市中銀行の金利に比べて極めて金利が高いことと、金利に対する税金が所得税15%、地方税5%合計20%の源泉分離課税ということです。
つまり確定申告不要ですから他の所得と合算されることはありません。例えば年収1500万円の人が更に100万円給料を上げると所得税33%と地方税10%の合計43%かかりますが、社債の利息なら20%で済むということになります。
会社に多額の貸付金のある方は、これを社債に替えれば、もらった金利は20%しかかからないことになります。

1月 2, 2011 7.現場からの報告 |

2010年12月 3日 (金)

現場からの報告〈12月〉

百年企業を目指して…その4

 前回まで、不動産部分を別会社にして、百年企業にするには、親会社の100%子会社にする分社型分割よりも、無税で元の株主に株を持たせる分割型分割の方が適切であることと、分割型分割にする方法が分からず苦労したことを述べました。
 今回はその後の、社長所有の土地建物を不動産会社への売却とその売却代金を少人数私募債に変える経緯を述べます。

1.個人所有の土地建物を不動産会社に売却する
 予定より1ヶ月遅れて、不動産会社が設立されました。
この会社に社長が保有する不動産を売却することにしました。
売却価格はできるだけ個人の譲渡所得が出ないようにしなければなりません。
土地、建物の価格振り分けは、契約書に金額が振り分けられればその価格になりますが、振り分けさせていなければ、固定資産税評価証明の金額比になります。
建物の価格がいくらになるかは、その後の減価償却費の金額に影響しますし、仮払消費税の金額が変わることにより、初年度の消費税の還付額に影響します。
しかし売却手続が私共の知らないうちに進められていて、気付いた時は登記まで完了していたのであわてましたが、何とか辻褄を合わせ、第一期は家賃収入が少なかったので、消費税も10万円以上還付されました。

2.売却代金を少人数私募債に変え20%の分離課税で済む利子を受取る。
 社長から不動産会社への土地、建物の売却代金は5000万円を超える程でしたが、会社にはこれを買取る資金がありません。
とりあえず未払金にし、この未払金を少人数私募債に変えることにしました。
少人数私募債の詳細については次回に詳しく述べることにしますが、中小企業が発行する社債と考えてください。
取締役会の決議だけで発行できますし、管理コストもかからず、何よりも、社債の利息には所得税15%、地方税5%の合計20%しか税金がかからず、しかもそれが分離課税というのが魅力です。
給与所得が1200万円をこえると増えた給与には所得税33%、地方税10%の計43%課税されますが、社債の利息には20%が課税されるだけですので税金は半分以下で済みます。
社債の利息は5%前後に設定できますので銀行金利などに比べてはるかに有利です。

金利は当然に会社の損金に算入できます。
未払金を直接社債と振替えると、社債の金額は払い込まれてないなどといわれると困るので、社長は事業会社から社債に相当する金額を借入れ、その金額を社債購入代金として、会社に振り込んでもらいます。
会社はこのお金を社長からの不動産の購入未払金の支払に充てます。
社長はこの受取った金を事業会社からの返済に充当しました。
お金をぐるりと一回まわしたことで形をととのえました。

12月 3, 2010 7.現場からの報告 |

2010年11月 2日 (火)

現場からの報告〈11月〉

B社の場合 百年企業を目指して…その3

 前回は会社から不動産部分を切り離して別会社を作るのに分社型分割と分割型分割という2つ方法があり、分社型分割は100%子会社方式で、これは創業家を守るという目的には向かないことを書きました。
分社型分割は切り出した不動産部分の株を元の会社に持たせ100%子会社にするのに対し、分割型分割はこの株を元の株
主に持たせることにより、相互に関係のない会社にします。

分割型分割にするメリットは次の通りです。
201011 ①銀行借入の際、B社は子会社でないので担保として要求されない。
②B社はA社と全く関係がなくなるのでB社の役員にはA社に気兼ねなく同族関係者を入れられる。
③B社に自己所有不動産を売却することによりB社を拡大できる。

ですから不動産部分を切り離して100年企業を目指すには分割型分割が適切であることになります。

簿価で譲渡されるので、譲渡利益が発生しない

会社分割のメリットは不動産を子会社に移しても簿価で譲渡ができるため、譲渡利益に課税されないことです。
会社の
土地は、バブル以前に購入しているものも多く、それらは取得簿価が低く、時価との差額が大きいため、資産移転に際して譲渡益が発生し、譲渡益に課税される恐れがありますが、会社分割の場合には簿価で譲渡できるので、譲渡益が発生しないのです。
こうして分割型分割にすることにし、作業にとりかかりました。
参考書を見ながら、分割の日を決め、分割する財産を決め、分割計画書をつくり、会計処理、税務処理のやり方を理解
し、これでいいだろうと法務局に持っていったら、新会社法になってから会社分割は分社型分割のみで分割型分割は、なくなったから受理できないというのです。
しかし、どの本を見ても分割型分割の会計処理と税務処理の方法が出ています。
仲間の公認会計士に聞いても、新会社
法になって分割型分割をとり扱った者がなく、途方に暮れてしまいました。

何とかしなければと必死に本を探したところ、ある本に「分社型の分割をする場合に発行する新株を配当として、元の株主に交付する形式をとればよい」との記事を見つけ、事無きを得ました。
当初の分割予定日より1ヶ月遅れてしまいました。

11月 2, 2010 7.現場からの報告 |

2010年10月 2日 (土)

現場からの報告〈10月〉

B社の場合 百年企業を目指して…その2…会社の分割

 前回は百年企業を目指すためには、個人と会社の混同している財産、債務人的要素の関係を
(1)会社(事業)と(2)不動産賃貸会社(3)同族関係者個人の「家」の3つに区分することが必要であるということを述べました。

そして事業会社は無借金経営を目指し、不動産担保や個人保証無で借りられる借金の範囲で借入をし、第三者にも経営を託すことができるようにしておくことが必要であることまでを書きました。

 借り替えや新規借入の場合必ず社長の連帯保証を要求されます。
そして問題なのは、その借入金が全額返済されるまで、たとえ社長を交替しても銀行はその保証を抜かないことです。
ですから第三者に経営を渡す必要のある会社は個人保証なしで借りられる形を整えておかなければならないのです。

分社型分割と分割型分割

 事業会社から不動産賃貸部門を抜き出して別会社にする方法を「会社分割」といいます。「会社分割」は「事業に関して有する権利義務の全部又は一部を他の会社に包括的に継承させる行為」です。
「会社分割」には「分社型分割」と「分割型分割」の2つがあります。        
「分社型分割」とは、新設会社が新たに発行する株式を分割会社自体に割り当てる分割であり、分割会社の株主に割り当てる分割を「分割型分割」といいます。
1

分社型分割の問題点

①事業会社が経営不振に陥った場合、事業会社は子会社である不動
 産会社の不動産を担保に借金する誘惑から逃れられません 
②事業主本人が持っている不動産を会社に売って不動産会社を大き
 くしようと思ってもその不動産会社は親会社の100%所有なので、親
 会社の不動産を増やすことにしかなりません
③不動産会社は親会社の100%所有なので、同族関係者をこの不動
 産会社の役員や社員にした場合、彼らの給料をとることがやりにくく
 なります

10月 2, 2010 7.現場からの報告 |

2010年9月 4日 (土)

現場からの報告〈9月〉

B社の場合 百年企業を目指して…その1

 凡そ一年位前、お客様の社長から一冊の本を手渡されました。
題名は「自分の会社を100年続く企業に変える法」というものでした。
「うちの会社も100年企業を目指したい」という意思でした。
本の要旨は次のようなものでした。
 中小企業は通常、会社(事業)と個人(家)が財産・債務・人的要素も含めて入り乱れている状況にあります。
事業が使用している土地、建物を個人と会社が共有したり、全く働いていない経営者の奥さんや両親などが役員報酬をとっていたり、会社の借入金の担保として経営者個人の財産を担保提供しているというようなことが多くみられます。
百年企業にするには、混同している会社(事業)と同族関係者個人の家の財産、債務、人的要素を次も3つに分けることが必要です。
1
(1)会社は事業(本業)をやるのみの会社で不動産は一切
  所有しない。 

 ① 不動産を所有すると、本業から返済できる実力以上の借入を
   してしまう危険がある。  
 ② 家賃を支払わないため本業の力以上の実績をあげてしまう。
 ③ 事業会社は無借金経営を目指し借入は無担保、無保証の
   限度額内で借り、それを超える借入は絶対にしない。
   会社は同族関係者だけでなく、優秀な経営能力のある第三者
   の経営者に任せられる体制にする必要があります。
   それには銀行借入をなくすか、あったとしても無担保、無保証
   の形を整えておかなくてはなりません。
 ④ 事業会社からは同族関係者個人の「家」の人で、業務を行って
   いない人には給料を払わない。
   従業員のモチベーションが下がるからです。
   経営権を持つ株主経営者は高額報酬をとったり高級外車に
   乗ったりしない。

(2)不動産賃貸会社は、不動産を所有し、その不動産を賃貸
  するのみの会社にする。

(3)同族関係者個人の「家」は自宅と金融資産そして事業会社
  及び不動産賃貸会社の出資株式のみを所有。

9月 4, 2010 7.現場からの報告 |

2010年4月 2日 (金)

現場からの報告〈4月〉

A社の場合(最終回)

更に粗利2.7%UP

 会社が生きていくためには、他社より勝れる強味を持っていなければなりません。
価格が安いとかアフターサービスが良いとか、小回りの配送が利くとか、その強味は業種毎にポイントが異なるとはいえ、勝ち残っている会社にはそうしたものがある筈です。
 最初の頃、おたくの強みは何ですかと聞いたことがありましたが、その時には誰もこれといった特徴を答えることができませんでした。
20%あった卸売上を5%までに減らし粗利益率をあげていった結果、売上は85%程度にまで落ちてしまいました。
これ以上の粗利アップはそう簡単なことではないし、あとはもう一度売上アップに挑戦するしかありません。

■売上アップの道は3つしかありません。

 既存客の社内シェアを上げるか、昔の客で今は取引のなくなった客と再度取引を再開するか、新しい客を開拓するかの3つです。
 既存客の社内シェアを上げるには、その客が仕入れている商品のうち当社が納入していない商品を納入することが必要です。
その場合はどうしても競合他社より安く納入しなければならず、それが現在納入している商品にまで波及し、結果としてその顧客の粗利益を下げることになります。
現実にそのようなケ-スも発生しました。
 昔の取引先との取引再開は言うは易く行うは難しいです。
取引先が離れていったのにはそれだけの理由があります。
価格の問題か担当セールスとの感情問題かが原因であることが多いので、通常は担当者をかえて攻めさせますが、A社のようにセールス担当と配送担当とが一緒になっており、配送の都合上エリア制をとっている場合には、そこだけ別人にやらせるわけにはいきません。

■新規攻略はメーカー道づれで

 結果的には新規顧客を獲得するということにならざるを得ません。
幸いなことにA社のセールスマンは人が良く面倒見が良いというのが強味でしたので、紹介依頼を積極的に行ってもらうことにより、少しずつ成果が上がってきました。
他社が営業をやめてしまった市場の大部分を、客の紹介により獲得したこともありました。
社長にも新規顧客獲得を積極的に行ってもらいました。
攻略はその顧客が使っている主力の商品を中心に行いました。
社長はメーカーの担当者を交渉に連れて行き、価格はメーカー担当者に出させました。
売上が減少している時にはメーカーものどから手が出る位欲しいので、結果的にはこれが成功し、それなりの売上の客がとれました。
結果、一年間で前年より500万円程売上が増加しました。
 それ以上に驚いたことは、社長がどのメーカーに対しても1%~2%の値下げを継続的に依頼していたことが大きな成果を生むことになりました。
特に期の途中から途中入社の社員が入ってきて、社長の行っていた配送業務を引き受けることになり、社長の業務が軽くなってからは、熱が入ったこともあり、従業員の頑張りもあり、2009年の決算ではなんと通期で2.7%の粗利がアップし23.8%となりました。
経常利益率も5.5%にまで上がり、来期には税務上の繰越欠損金の一掃も出来そうです。

4月 2, 2010 7.現場からの報告 |

2010年3月 2日 (火)

現場からの報告〈3月〉

A社の場合-(その4)

黒字化達成

 こうして迎えた8月の決算の結果は経常利益で凡そ△50万円とほぼトントンで終わり、前期の約△1270万円に比べて大巾に改善されました。
売上の減少にも拘わらず粗利アップにより、粗利が凡そ400万円よくなったことと、経費の減少900万円があったことにより前期より1300万円近く良くなりました。
経費減少のうち、社長の給与の減少が6割程ありました。
しかし、年金の受給により実質的な減少はかなり抑えられました。
 次の期にはこの業界は石油の値上げによる原材料費のアップによる価格改訂という大きな問題を抱えました。
A社の業界は石油を原料とする部分が大きいため2割をこえる価格UPを図らなければならないという若境に陥りました。

従業員が価格改訂に取り組む

 ところがA社では、このことが好結果を生みました。
2人の中心従業員が一品一品の価格の改訂に取り組んだのです。
商品一品一品の仕入値を元に価格表を自分達で作り直しました。
今までは社長に言われていた価格ですので、その値段では売れないなどと平気で言っていたものが自分達で決めた価格であるいじょうそんなことは言えません。
彼らが積極的に取り組んでくれたお蔭で、値上げという最大の試練は何とか乗り切ることができ、原価の値上がりを価格に転嫁することにほぼ成功することができました。
この価格改訂という課題にとり組んだ結果、従業員の原価意識は格段に上がりました。
この商品は、この値段では安いということを彼等自身で考えるようになったのです。
こうなればしめたものです。
少々のことがあっても簡単に値を下げるようなことはしなくなりますし、粗利の低い商品は、新商品が出ると、積極的に新しい商品と入れ替えするようになり、粗利の低下を防ぐようになりました。
今では、女子社員までが、「この商品はこんなに安く売っていいの?」というようになっています。

 しかしこの年の売上は約1000万円下がりました。
主客先であるスーパー等は厳しい価格の競争の中にあり、少しでも値段の安い物を求めています。
旧来の商品は15~20%値上がりしたので、格下の安い物でまにあわせようとしたため、結果的には売上は上がらなかったのです。
しかし粗利は前年より1.1%上がり総額で400万円以上の増額となり経費はほとんど変わらなかったため、五年前に比べると売上で5500万円程減少したのに拘わらず、粗利は600万円も増え、経費は1600万円程減ったので2200万円程が改善されました。
2000万円の赤字が200万円の黒字になったのです。
あともう少しです。
経常利益は五年振りの黒字となりました。

3月 2, 2010 7.現場からの報告 |

2010年2月 2日 (火)

現場からの報告〈2月〉

A社の場合-(その3)

粗利が一年で3%アップ

 会社再生のため粗利額をあげるために、売上アップにするのか粗利益率アップにするのかの選択をしてもらったら、粗利益率アップを選択したので、4%粗利率アップをするのに、売り先に2%アップを仕入先に2%ダウンをする方法を提案し、それを承諾してもらったところまでが前回まででした。
 先ず社長に対しては、粗利の低い卸売上をメーカー直送の一部を除いて止めてもらうことにしました。
卸は売上の20%程を占めていましたが、粗利が5%と低く、売上の割には嵩(かさ)の張る物が多く、運送に手間がかかるからです。
2ヶ月後訪問した時、社長の卸売上の部分の整理が一部行われている程度で、ほとんど進展はみられませんでした。
8月の決算ではほとんど変化はありませんでした。
 社長と幹部従業員2人に経営報告書のグラフと図を用いて会社の状況と問題点を理解してもらいました。
特に労働生産性が1.4と低いことが問題であり、短期的にはトントンにするためには1.7、長期的には2を目指すべきことを彼等に計算をしてもらいながら理解してもらいました。
その後もあまり目立った進展がみられないようでしたので、12月には客先をA、B、Cに区分をし、その区分毎に粗利益率をどうするかの目標利益率を設定してもらうことと、商品毎の売価をどうするかについて価格設定会議を開き、売価の適正性のチェックをしてもらうことにしました。

粗利率が20%になった

 こうした効果は少しずつあらわれてきました。
翌年の3月の数字では一般の売上の粗利率が前年の17%から21%へと向上していました。
卸の売上高も全体の17%程度に減っていました。
その結果、粗利率は全体で18.6%と、前期決算より1.5%上がっていました。
小規模売り先に対しては、値上げが浸透してきていましたが、大口客へはなかなか言い出せないことが分かりました。
そこで大口客には、全ての商品で値上げをするのではなく、客先別に商品を決めて、それを突破口にして値上げをしていくことにしました。
また、社員に不満を聞くと、ここ数年昇給がないことが不満でヤル気がしないという返事でした。
経営改善時には賞与で報いることを約束しました。
社長の仕入先への値下げ対策は確実に実行されていました。
2%の値下げは担当者決済の範囲内です。
A社はそれなりの仕入規模でしたので、2%の値下げは割りとスンナリと通りました。
粗利1.5%の改善の大部分は仕入の値下げの効果によるものでした。
7月になると売上の効果も徐々に加わり、粗利率は合計で20%近くにまで上がってきました。
何と1年で3%の粗利がアップしたことになります。

2月 2, 2010 7.現場からの報告 |

2009年11月 2日 (月)

現場からの報告〈11月〉

A社の場合(その2)

 前回は粗利20%位とっていると思っていたのに、実際は17%しかとれていなかったことと、それを社長も従業員も理解していなかったというところまででした。
これは決算終了時に、会社の問題点を会計事務所から十分に説明を受けていなかったということもあると思います。
こうした時の対処策は経費を減らすことか、粗利を上げることしかありません。
経費はここ数年の苦しい決算の結果、ほとんどの経費が切り詰められていましたが、ただ一つ、保険料の中に全額損金算入の可能な保険料が含まれていました。
全額損金算入の保険は利益の出ている会社にとっては節税になりますが、そうでない会社にとっては意味のある支出ではありません。
これだけで月に30万円を超える位の金額になっていました。
なかには既に退職した人の分も入っていましたので、必要な2名分のみ残してあとは解約してもらうことにしました。
この分だけで解約返戻金が900万円程になり思わぬ金が舞い込みました。 

粗利率4%UPを目標

 次は粗利をあげることです。
粗利をあげるには売上を上げるか、粗利率をあげるかの方法しかありません。
損益分岐点から計算すると、必要粗利をあげるには売上を25%程上げるか、粗利率を4%上げるかどちらかしかありません。
中心の男性2人に売上を25%に上げるか、粗利を4%上げるかどちらを選択するかを聞きました。
2人とも売上を25%上げるのはとても無理だと言います。
できるとすれば粗利4%アップのほうが実現性があるとの返事でした。
こうした場合、粗利率が低い場合は粗利率アップを図り、粗利率が高い場合には売上アップを図るのが原則で、彼らの選択は正しかったわけです。
しかし、粗利率4%アップをさせるといってもなかなかの難事です。
そこで4%達成するための策を提案しました。

 先ず従業員に対しては粗利2%上げることはできるかと聞きました。
それだったら出来るだろうというので、全ての売り先に対して2%あげてもらうように依頼しました。
5%上げるというと社長に決済とか上長決済になりますが2%位だと担当者の裁量の範囲内というところが多いからです。
もし2%が駄目なら1%でもよいと頼むようにと依頼しました。
それも駄目なら来期からでもよいからと言うようにと加えました。
 次に社長です。仕入は全て社長が仕切っています。
そこで従業員に頼んだことと同じことを依頼しました。
全ての仕入先に対して2%の仕入値下げを頼むこと、もし駄目なら1%でもよいと。
 売値が2%上がり仕入値が2%下がれば上下で4%になります。
正確に言えば4%の粗利アップにはなりませんが大方4%の粗利アップになります。
こうして粗利アップ作戦はスタートしました。   (次号につづく)

11月 2, 2009 7.現場からの報告 |

2009年10月 3日 (土)

現場からの報告〈10月〉

A社の場合(その1)

 その会社は3年前にお客様になりました。
社長は(財)中小企業振興公社の経理の研修に来られていました。
毎回熱心に最前席で聞いていらっしゃいました。
研修のたびに会計事務所からの試算表が来ないといわれていました。
請求すると3ヶ月遅れの試算表が出てきますが、請求しないと6ヶ月も来ないことがあるとのことでした。

 会社に伺ってビックリしました。
かなりの繰越欠損金があって、社長の資金で会社を支えていて、その資金もそろそろ底をつきそうで緊急に手を打たなければならない状況でした。
引き受けた時期は決算まであと2ヶ月の中途半端な時期で、その期も1000万円を超える程の赤字をすでに出していました。
商品はたいへんに細かいもので、1個当りの価額が、今どき珍しい1円未満の金額がついているものもありました。
過去の決算書を調べると平均粗利が17%と非常に低いことが目につきました。
社長に尋ねると20%はとっている筈だと言われます。
そこで伝票をもってきてもらい金額の大きな伝票を任意に15枚程抜き出し、経理の女性に原価を入れてもらいました。
記入された伝票の粗利を計算してみると15%前後のものが多く、とても20%には届きません。
中には5%程度のものもあります。
聞いてみると、卸をやっているので、その販売先は粗利が低いのだとの答えでした。
取引高の小さいところは粗利が高いので、全体としては17%位まで上がるのだということが分かりました。
労働生産性を計算してみると、給料の1.3倍程度にしかなりません。
これではとても利益など出る筈がありません。

こうした時にとるべき道は2つしかありません。
粗利額をあげて、経費を減らすことです。
先ず粗利総額を上げなくてはなりません。

 そこで従業員の中の中心人物、男性2人を呼んでもらいました。
先ず彼等に同じように粗利は何%位とっているか聞きました。
2人共20%位はとっていると社長と同じように答えます。
きっと20%粗利をとることが合言葉になっていたのでしょう。
そこで前に抜き出した伝票をみせて計算をしてもらいました。
2人共「おかしいな。取っている筈だけど」と言いながら出た数値を確認するとやはり15%程度です。
納得できないようなので自由に伝票を選んで計算してもらいましたが、結果は変わりません。
途中で「これはこんなに安く売っていたのか」と言い出す始末です。
結局彼等も納得せざるを得ませんでした。
毎月毎月売上目標だけを追い続けていたために、粗利がおろそかになっていたのでした。             
                         (次号につづく)

10月 3, 2009 7.現場からの報告 |

2009年9月 2日 (水)

現場からの報告〈9月〉

 これまでこのページは税務のページでした。
これまで、その時々に話題になっている事項や皆様に関連の深い事項をとりあげて、その都度説明してきました。
しかし、税法改正の時期には、それなりに報告すべき事項はありますが、それ以外の時期には、お伝えするべき事項はそう多くありません。
今後ともお伝えすべき税務がありましたときは「税務」をとりあげる積もりです。

 これからは「現場報告」をお伝えしていこうと考えています。
 私が日常のお客様のところでやっている業務は、税務、経理、のアドバイスは勿論ですがそれをベースにした営業的アドバイスを主な仕事にしています。

 たとえば、粗利率は目標どおり取れているか、先月に比べて良いか、目標にいかなかったときはその理由は何故かを問います。
場合によっては担当者別の粗利表を出してもらって検討することもあります。
多くの場合、粗利率を下げるのは特定の人間で、会社が売上中心主義になっている場合にはよく起こることです。
粗利率が各人毎にあまりちがわない場合、客先毎の粗利益率があまりちがわない場合、小売店のように売価表示がはっきりとしておりあまり値引かない場合等を除いて、その他の場合は、売上目標ではなく粗利目標に変えていただきたいものです。

 営業そのものに頭を突っ込むこともあります。
たとえばイベントを計画している場合、イベントの目的は何か、対象は誰か、どのようなことをやろうとしているのか、イベントの予算はいくらか、イベントの成果は何を期待しているのか等を確認します。
一つ一つを確認していくと、目的に合わない客を対象にしている場合や、計画しているイベントの内容では、初期の成果は期待できない場合などが出てきます。
そんな時には、イベントの内容の変更を討議することもあります。
チラシを出してもらい、チラシの文言がよいかということを検討することもあります。
 次号からそんな現場での出来事をお伝えしようと思っています。

秋の七草
秋の野に咲きたる花 指折り(およびおり) 
かき数ふれば七種(ななくさ)の花 萩の花 尾花(おばな)
葛花(くずばな) 撫子(なでしこ)の花 女郎花(おみなえし)また
藤袴(ふじばかま)、朝貌の花(山上憶良やまのうえのおくら・万葉集)
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9月 2, 2009 7.現場からの報告 |