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2010年12月 7日 (火)

衰退に抗うための五訓〈12月〉

 バブル崩壊以後すでに20年経っているのに、日本経済は一向に回復しません。
企業業績も少数の例外を除いて、底這いを続けています。
黒字企業の割合は相変わらず30パーセント前後で、ここ10年程大きな変化はみられません。
多くの企業が敗れないように必死になって船を漕いでいるというところが真の姿ではないかと思います。
そんな時「ビジョリーナカンパニー③ 衰退の五段階」という本が出ました。
この本は実名をあげながら、成功した会社が衰退に向う流れを五段階に分け、その各々の段階で起こる特徴的現象をとらえ、その各々のステージでとってはならない対策を「衰退に抗うための五訓」として纏めてあり、会社経営をする方にとっては示唆にとむ多くのことが書かれています。

教訓1 自らの成功を徹底的に疑え
 成功は「智恵と努力」「幸運と偶然」が加わってもたらされるものです。
しかし成功した者は幸運と偶然という要素をついつい見落し、自分たちの力だけで勝ち抜いたと錯覚しがちです。
一生懸命頑張ってやるべきことをやってきた、我々のやってきたことは間違っていなかったと思ってしまいます。
でも大事なことは謙虚さです。
物事がトントン拍子で進んでいる時こそ、成功を疑い、成功を恐れ、成功を割り引いて考えることが大切です。
「幸運に恵まれただけだったのではないか」「たまたま良い時代、良い場所、に巡り合わせただけであって、単なる偶然だったのではないか」と成功の本当の理由を問いつづけなければなりません。
成功したのは当然であり、これからも成長を続けていくという過信を抱くようになると危ういと考えるべきです。

教訓2 残酷な現実から目をそらさず直視する
 いよいよ衰退が始まったら、現実に起こっていることを直視しなければなりません。
客離れ、利益率・在庫回転率の低下、価格支配力の喪失など多くの警戒信号が出ます。とくに注意すべき指標は粗利益率、流動比率(流動負債にたいする流動資産の比率)、負債比率(自己資本に対する負債の比率)の悪化が嵐の到来を示す微候です。
こうした微候があらわれた時、衰退する企業の経営者に共通するのは、それらの原因は他人や外部要因に問題があったと抗弁し、会社が深刻な問題にぶつかっていることを示す厳しい現実を直視しないことです。
悪い情報を無視したり、ねじ曲げて解釈したりしているうちに衰退はますます加速していきます。
一方衰退を免れる企業の経営者は出されたデータや証拠に基づき、幹部や社員と議論を重ねます。
多くの質問と疑問を提示し、深い意見を求めます。
決定が下されれば団結して、決定を実行していきます。
 

教訓3 答えはいつも社内にある
 衰退に陥ったとき、一発逆転できるような魔法の杖を探しても、そんなものはどこにもありません。
競争力の基盤になるのは、試行錯誤の中で築かれていった小さな積み重ねしかありません。
「自分たちが今まで成し遂げてきたことは何だったのか。その基盤の上にどのような新しいものを積み上げられるだろうか」を考えなければなりません。
社外に目を向けて未知の何かを探すより前に、やることは山ほどあります。
答えはいつも社内にあるのです。
しかし、会社を変えないでよいというのではありません。
顧客、商品、営業のやり方、仕事の仕方など、考えるべきものはいっぱいあります。
大切なことは「基本的な強みとして維持すべき点と変革が必要な点」とを明確に区別することです。
変えるべきものは果敢に変えていかなければなりません。

  
教訓4 一発逆転を狙うな
 衰退に陥ったとき、多くの会社で起こることは一発逆転の発想です。
関連性のない新市場への進出、検証されていない新技術の採用、派手な新製品の発売、大胆なイメージチェンジに賭けたり、救済を約束するコンサルタントを雇ったりなどの特効薬に頼ろうとします。
しかし、特効薬の多くは自ら生きようという気力と体力を持つ病人に利くのであり、体力も気力も失った者に利く薬はそうあるものではありません。
ましてや外部から救世主を迎えようなどと考えてはなりません。
衰退時に外部に経営者を求めた企業の多くは業績が悪化しています。

教訓5 決して屈服しない
 1941年ドイツがロシア攻撃に踏み切った頃、イギリスのチャーチルは、母校のハロー校を訪れて卒業式の式辞を贈りました。
集まっていた少年たちを見つめてこう語りました。
「これが教訓だ、決して屈服してはならない。決して屈服してはならない。決して、決して、決して相手の大小を問わず、強弱を問わず、決して屈服してはならない。」

皆様の会社もそれなりに困難を抱えていらっしゃることと思います。
しかし大事なことは、困難から逃げるのではなく、困難を正面から把え、困難の原因を突き止め、これを解決していくことです。
逃げていたのではいつまでたっても困難はなくなりません。
経営していく限り、生きていく限り常に困難はあらわれます。
生きていくこと、経営していくことは修業です。
江戸時代の思想家、鈴木正三(すずきしょうさん)は、「宗教、念仏にとらわれることなく職業に励むこと自体が仏教修業だ」といいました。
経営していく限り修業はつづきます。

12月 7, 2010 2.チャレンジ |