« リーダーが忘れてはならない3つの人間心理〈11月〉 | トップページ | 甦るハウステンボス〈11月〉 »

2010年11月 5日 (金)

ウナギは陸で創る〈11月〉

2010112
 土用の丑の日に、栄養価の高いウナギを食べ、暑い夏を乗り切ろうというアイデアは約200年前の発明家、平賀源内が発案したという説が有力ですが、ウナギの流通量が世界的に急減しています。
日本で食べられるウナギは99%が養殖もので、そのうち3分の2は中国からの輸入で国内産は3分の1にしか過ぎません。

 養殖ウナギは天然ウナギの稚魚であるシラスウナギを捕獲して育てます。
このシラスウナギの捕獲量が年々減少しており、特に今年は悪く、前年比7割減と壊滅状態になっており、欧州ではシラスウナギの捕獲に制限をかける動きがあります。
このため世界のウナギ消費量の7割を占める日本では、卵から孵化させて育てる「完全養殖」の実現が望まれていました。
研究は1960年代に始まりましたが、ウナギの生態に不明なことが多く実現されませんでした。
成長したウナギは、川の中流から下流、あるいは河口や湖から生息しますが、産卵には海へ帰ります。
広い太平洋のどこで卵を産み、何を食べて育ち、どうやって日本に戻ってくるのかは長きにわたって謎でした。

ウナギの産卵場はマリアナ諸島近海

 そんな中、今年4月に独立行政法人、水産研究総合センターが「ウナギの完全養殖」に成功しました。
これは、それに先立つ2つの研究の成果を生かしたことにより達成できました。
1つは東大海洋研究所が2005年の調査で日本から2500kmも離れたマリアナ諸島南西海域で孵化したばかりのウナギの仔魚を大量に発見したことです。
水産総合研究所センターはその海域のデータを総合的に活用し、仔魚育成のための餌や最適水質、水温などを探究しました。

もう1つは卵の採取です。
ウナギの産卵は、海で産卵場所に向う際にホルモンが分泌されて産卵するので、産卵誘発が不可欠でしたが、サケの脳下垂体抽出液をウナギの雌に注射して成熟を促し、さらに別のホルモンを注射して排卵を促進して産卵させる技術を北海道大学などが確立していたことです。
現在は孵化後100日の生存率は20%近くまで上がり、水産総合研究センターで誕生したウナギが成魚となって産んだ卵が今年4月に孵化しました。
一応完全養殖のサイクルが完成したところです。
しかし、養殖場所はまだ小さな水槽で、適用化には何十万匹規模での養殖が必要です。
今のところ大きな水槽での実験は苦戦しています。
まだ実用化までには少々時間が必要なようです。

11月 5, 2010 3.スクラップ |