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2010年6月 7日 (月)

志・師・詩・死〈6月〉

 日本経済新聞の3月の「私の履歴書」にはユニチャームの会長の高原慶一郎氏が執筆されていました。
ユニチャームは生理用品や紙おむつで日本国内のトップメーカーであり最近は成人用おむつやペット関連事業にも進出しています。
連結売上高3,500億円・東証一部上場で、高原氏が一代で築き上げた会社です。
高原氏の履歴書を読むと高原氏の成功のポイントが見えてきます。

 第一は、常に目標を持って生きているということです。

最初の目標は独立起業することです。
そのため松山高校を卒業した時、多くの同級生が旧帝大を目指したのに、いつかは商人になろうと思っていたので商科が充実した大阪市大に進みました。
本人も「旧帝大に挑戦しないで後悔はしないかと自問した」と書いています。
それだけの力を持ちながら、目的に合致する学校を選ぶという決心は18才位の者にはなかなかできることではありません。
卒業後に入った会社も従業員150人程度の製紙会社です。
大企業に入ったのでは会社の仕組がわからないので、経営全般のことがわかる中小企業を選びました。
ここでも世間の見てくれよりも実利を選ぶ姿勢を保っています。
父親の会社に戻ってからも、高度成長期のブームに乗っていた会社を継ぐことなく、建築資材を造る会社を新たに立ち上げました。

次の目標は上場することです。
社名も大きな成長と成功を願い大成化工としました。
社員集めをするときは「15年後には上場する」と大見栄を切りました。
社内でも常に上場すると言い続けました。
そうすると社員もいつの間にか「やってやろうじゃないの」という雰囲気にもなるものです。

その次の目標は常に一番になることです。
これは母親に影響を受けています。
小学校のとき学年3番になり急いで家に帰り報告したところ「なんや3番か」と不機嫌になったのが一番しか認めない強烈なメッセージとなり、その後一番にこだわるようになったとのことです。
その後の事業展開も常にNo.1を目指しつづけ、生理用品でもアンネを抜き、子供のおむつでもP&Gを抜きました。
P&Gを抜いたことでロンドンの機関投資家は「まるでバルチック艦隊をやっつけた連合艦隊のようだ」と日本市場より低金利の社債を買ってくれました。

 第二は、人の3倍勉強し、人の3倍働くことです。

学生時代は予習復習を欠かさず、何でもノートに残しました。
ノート魔は大人になっても変わらず、ゴルフの昼食時でも大学ノートを出し、相手から何かを学びとろうとしました。
ノートの数は700冊にも及び、今でも読み返し、大切なところには色違いのラインマーカーで何度も線を引いています。
大学3年で卒論以外の、全単位をとり、四年目は指導教官の紹介で一橋大学の藻利教授の元で勉強しました。
勉強だけでなく、テニス、ヨット、馬術、スキー、美術部、写真部に身を置き、写真では、朝日新聞社から特選をもらっています。

会社に入ってからは人の3倍働くことにしました。
一年目は工場の欠勤者が出ると夜勤や休日出勤も買って出て、現場の経験もしました。
休んだ記憶がない程でした。
2年目は、営業で朝6時台に出て、終電車を乗り継いで大阪に帰ってきました。
その結果、営業成績は前任者の4倍になりました。
3年目には社長秘書となり、婿養子になってくれとまでいわれました。

 第三は常に新商品と新技術に挑んだことです。

 ユニチャームが大きくなるキッカケは建材の会社が生理用品を売り出したことです。
生理用品の販売には会社をあげての猛裂な反対に合いましたが、これを何とか説得し、開発をスタートさせました。
価格競争とは一線を画すために、常に技術力、商品力で裏打ちしたブランドで戦うことにしました。
そのために10年間追随を許さない商品で、市場価格より5割高い商品を目指しました。
紙おむつでガリバーP&Gに挑戦したときはバカよばわりをされましたが、P&Gと全く異なる立体型の紙おむつを開発しP&Gに打ち勝ちました。
その紙おむつが花王、P&Gに追われて窮地に陥ったときは、吸収力の高い「ウルトラムーニー」を出し、窮地を脱しました。

 高原氏は「志・師・詩・死」の四つの「し」が大切だといいます。

「志」は何をするにも高い志をもって貫徹すること
「師」は会う人は皆、師匠である。人生の生き方や原理原則を
   教えてくれる人であると考えること
「詩」は人生や仕事や夢にロマンを持つこと
「死」は限りある人生を真剣に生きることです。

 高原社長の履歴書は常に高みを目指し、たゆまず努力をつづけ、勝ち抜いていく一生であり、とても真似できないと思いつつも、すごいなと感心させられるものでした。

6月 7, 2010 2.チャレンジ |