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2010年1月 6日 (水)

鉄のゴミを海のサプリに!〈1月〉

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 磯焼けは、昆布やワカメなどの藻類が減少する一方で、サンゴモと呼ばれる白く硬い殻のような海草が海底の岩の表面を覆いつくす現象です。
過去30年で日本の近海では、磯焼けが進み、魚の餌となる藻が4割も減少しました。
これは漁業関係者にとって、大きな悩みの種となっています。こうした磯焼けの原因はこれまでは、海水温の上昇や水質汚濁などに加えてウニなどの生物が海藻を食い荒すからだとされてきました。
 しかし原因は「海の鉄分不足」にあったのです。
その背景にあるのが鉄の供給源になっていた森林の破壊です。

 落ち葉などが腐ってできた腐葉土の中には、鉄と結びつき易い性質の腐植酸が発生しています。
腐植酸は地中の鉱物などが含む「二価鉄」と結合して「腐植酸鉄」になり河川を通じて海に大量に流れ込んでいます。
海藻類は、この腐植酸鉄に含まれる「二価鉄」を吸収して、光合成や生殖細胞の一種である配偶体を育てていました。
ところが近年の森林伐採や大規模なダム工事で、河川と海が遮断され、海への鉄の供給ルートが閉ざされてしまいました。
それが磯焼けの大きな原因となっていました。
森林が破壊され、漁場が消失してしまったため、森林を甦らせたところ漁場が戻ってきたという報告もありますが、これも鉄分の不足が原因だったのです。

 新日鉄では2003年から、東京大学と共同で人為的に鉄分を海に供給して藻場を蘇らせる取り組みに乗り出してきました。
その際に使ったのが鉄鋼スラグです。
鉄鋼スラグは鉄鉱石から鉄を作り出す過程で生まれる副産物で、鉄分や石灰を多く含んでいます。
1トンの鉄を作るのに当たって約400㎏と4割の鉄鋼スラグが発生します。新日鉄だけで2008年には1200万トンの鉄鋼スラグが発生しました。
新日鉄は鉄鋼スラグを使い、森から生まれる腐植酸鉄に限りなく近い成分を含んだ製品作りをしてきました。
廃木材チップを発酵させて腐植土を作り、そこに同じ分量の鉄鋼スラグを混ぜ合わせています。

 5年前に初実験を行った北海道増毛町では、3年連続で昆布が大豊作になり、20年ぶりにニシンの大群も帰って来ました。
成功を聞きつけた他の漁業組合から引合いがあり、その後も東京都三宅島や、三重県志摩市など全国15の地域で実験が進んでいます。

1月 6, 2010 3.スクラップ |