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2009年7月 7日 (火)

一人勝ちのユニクロ〈7月〉

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 小売業が全体として良くありません。
百貨店もここのところ毎月前年比2ケタ減です。
特に衣料品が良くないようです。
そんな総崩れの様相をみせる「アパレル不況」の中で、ユニクロを傘下に抱える持ち株会社ファーストリティリングの業績はこのところ好調で、2009年8月期は過去最高益を達成する見通しです。

ユニクロの強さを示す6つの数字があります。
ヒット商品     「ヒートテック」を年間2800万枚売る
出店戦略     全国に750店、向こう3年で国内1000店に
           新宿地区だけで30店
規模と効率    売上5000億 営業利益15%
世界ランキング  6位(5位とは450億の差)
生産体制     1年間に4億枚生産
価格戦略     兄弟ブランド、ジーユーでは990円のジーンズ
             100万本の売上目標。
           ジーユーでは1900円以上の商品は販売しない

どの数字もアッと驚く数字ばかりです。

ユニクロの強さの原因は何でしょうか。

第1に、主要顧客層がいないこと

 現代のマーケティングは顧客像を明確に想定し、そこに経営資源を集中することにより、強さを発揮することを狙います。
ユニクロと同じ原宿に店を構える、欧州ファッションの「H&M」、米国の「FOREVER21」は10代~30代の女性を対象にファッション性の高い商品を小ロットで速く作って安く売るという商法で急成長してきました。
これに対してユニクロの来店客は老若男女、実に様々で、まるで顧客が絞りこまれていないことこそが強さを支える経営戦略の根幹です。
柳井CEO(最高経営責任者)は、ユニクロを「あらゆる人が良いカジュアルを着られるようにする新しい日本の企業」と定義しています。
そのため作る商品は「生活必需品とファッションの中間くらいの位置づけ」つまり「あらゆる世代と性別に向けた、適度のファッション性を備えた低価格のベーシック衣料品」という位置づけです。
この市場はあまりに巨大で、あたり前であったため誰しもが見落としていた市場です。
この市場を狙うためにユニクロがこだわるのは品質と価格です。
日本の工業製品と同じように嗜好や感性にかかわらず、誰もが手にし易い価格という強みは、世界に通用するものと考えています。

第2に、「強い製造業」を実現したこと

 ユニクロのとった製販一貫のSAP(製造、小売業)モデルで、卸売業者などの中間流通を排除し、コストを抑えることにより低価格を実現するという方法は、多くの追随者が出ましたが、皆軒並み失速し、ユニクロだけが勝ち残りました。
他が中抜きだけに活路を見出したのに対し、ユニクロは製造を強化することに力を注いだのです。
 今年5月ユニクロの店頭では3ヶ月前に発売された夏向けの新製品「サラファイン」という女性向けの下着が品薄になりました。
この商品はその名のとおり、汗を吸い取り、いつまでもサラサラとした感覚が持続する繊維で作られています。
これを商品化するためには、ユニクロだけの力では不可能で東レと旭化成に協力を要請しました。
試作品を作り直すこと63回、1年後にやっとできあがりました。
これを機にユニクロと東レは提携関係に入り、東レにはユニクロ専用の組織がつくられ、両社の開発チームは毎週のように商品について話し合っています。
保温性の高さが売りものの肌着「ヒートテック」は昨年2800万枚売れ、フリースの年間販売額2600万枚を超えました。
今、東レの工場内にはヒートテック専用のラインが設けられています。

第3に、社長が中心になって「やるべきことを本当に真剣になって徹底的にヤッタ」こと。

 柳井氏はいいます『ユニクロが考えたことは新しい産業を立ちあげることです。
小売りや、問屋、製造などに分断されていたものを全部一括して自分たちで手掛ける。
そのために、売れたもの、売れた売り場、売れなかったもの、売れなかった売り場、を徹底的に調べ、問題があればその週のうちに解決していくということを徹底的にやりました。やるべきことはいつも同じです。
それをどこまで徹底するか、どの水準までするかが問題なのです。
この水準ですることが普通だとしたら、これよりももっと上の水準でしましょうという話をします。
手抜きや低い水準の仕事は仕事じゃないと言っています。
現場がやるべきことを徹底してヤルためには、社長がその中心にいて、やるべきことが実行されているかどうか細かいことまで全部目を通します。
経営者が決心したら変革はできます。
経営者が自分にはできないと思うのだったら経営者をすべきでないと思います。
 いつの時代でも不況になったからといって全部が全部ダメになるということではありません。
市場は必ずあるもので、それを自分たちで取っていこうと思わないといけない。
商売をやっていて思うことは、企業の基本ポリシーみたいなものとか、ブランドの基本スタンスみたいなものが買いに来る人に伝わらないと本当には売れません。
今、少しずつユニクロの考え方が広まっているように思います。』

7月 7, 2009 2.チャレンジ |