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2008年10月 6日 (月)

工学部の凋落(ちょうらく)〈10月〉

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 資源のない日本が世界の中で伍してこられたのは、物づくりの力があったからだと思います。
強い物づくりの根っこには、強い物づくりの現場があり、それを支える物づくりの人材があったからです。
今その物づくりの人材に危機が迫っています。
昔は花形だった工学部の人気が全国的に落ちています。
 1992年のピーク時に全国の工学部志願者は延べ62万3000人いましたが、2007年度にはピークから6割減の27万人に落ち込んでしまいました。
代々木ゼミナールのデータによると1988年には有力工学部の難易度は地方大学の医学部と同等かそれ以上であったのに、この20年で一変してしまいました。
たとえば東京工業大学の難易度は、88年には金沢大、岡山大、熊本大という地方大学の医学部に並んでいたのに、2008年はすべての地方大学の医学部に抜かれてしまいました。
 事実、福井、野依両氏というノーベル賞受賞者を輩出した京大工学部でも合格点が下がり続けており、理数系の数学の問題も白紙解答が続出し、実力を正しく評価できない恐れがあるため、ここ数年問題を大幅に易しくしました。
 東大でも理系生徒1200人のうち、経済学部に58名が転部してしまいました。
かつては看板学科だった土木、機械、電気、化学の人気は凋落し、電気、情報系は過去5年連続の定員割れになっています。
2000年度まで10年近く定員割れが続いた原子力系の学科はすでに消滅してしまいました。
工学系の大学の世界ランキングでは2004年と2007年を比べると、東大は7位→9位、東京工大は11位→22位、京大は23位→29位と軒並みランクを下げています。
 私立大学の工学部はさらに深刻です。
九州共立大学は2008年度から工学部の学生募集を停止し、廃部を決定しました。
ここ数年定員割れが続いていましたが、志願者のレベルの低下がひどく、2001年には「入試の数学が0点だったら落とそう」というところまでに追いつめられました。
 ゆとり教育などと浮かれたことを言っているうちに、日本の教育は抜き差しならないところまで追い詰められてしまったようです。

10月 6, 2008 3.スクラップ |