« 肥満が犯罪になる日〈6月〉 | トップページ | 根津神社のつつじ〈6月〉 »

2008年6月 6日 (金)

奇跡の回復・日本サーボ〈6月〉

 サブプライム問題に端を発したアメリカの住宅の値下がりは、今のところ止む気配はありません。
そのため、アメリカの消費は住宅関連の業種から順に悪化し、今や全体的に景気後退の流れの中にあります。
その結果ニーマンマーカス等の高級品を主体とする百貨店の売上高はダウンしているのに、低所得層を対象とするウォールマートの売上高は前年比プラスと堅調です。
 アメリカの景気悪化とドル安のための日本企業の三月期決算の内容も、当初予想の増収・増益から、減収・減益または、増収・減益に陥るところも数を増しています。
そんな中で上場会社の日本サーボが24期ぶり最高益を出したという新聞記事が目にとまりました。
 記事には次の様に書かれています。
「日本サーボは2008年3月期の連結営業利益が20億円(前期は5億6000万円の赤字)と従来予想を4億円上回り、24期ぶりの最高益となったと発表した。
経営不振から昨年4月に日本電産の傘下に入って1年足らずで、収益が大幅に改善した連結営業損益は3期ぶりに黒字転換した。
日本電産から人材を受け入れるなどとして経営手法を導入。
無駄な経費や資材費を減らしたのが奏功した。
最終損益も16億円の黒字(前の期は14億5000万の赤字)と最高益を更新したようだ。
サーボは日本電産が日立製作所から買収し、子会社化した。
日本電産にとって買収後1年弱で最高益達成は、日本電産サンキョー(旧三協電気製作所)の2年を上回って最速という。」

 日立製作所は以前から事業の整理が必要とされており、日本サーボはその一環として売り出されたものです。
日本電産は、技術力がありながら社内が汚れており生産性の低い会社を買い、人の整理は行わず短期間で優良会社に甦らせることを得意としてきました。
日本サーボの取締役は「これほど劇的に良くなるとは」と自社の変身ぶりに驚いています。
V字回復の直接の要因は購買費削減や生産性の向上ですが、「なんといっても意識改革の成果だ」と上記取締役はいいます。
朝の仕事は身の回りの清掃で始め、工場は清潔にする。
その結果「ムダを省く取り組みが進み、経費も在庫も減った」と言います。
今期は資材費上昇が利益を圧迫するが「自助努力で吸収し最高益を更新する」と明言します。
日本サーボの売上高は340億円ですから一期間で純利益率が約9%(16億+14億5000万=30億5000万)も改善したことになります。
同じ会社が何故これ程の短期間に変化をとげることができたのでしょうか。

■経費は半分に削る

記事を読むとポイントは次の⑤つです。
①購買費削減  
②経費削減・在庫削減  
③生産性の向上  
④清掃を軸にした5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底による
  意識改革
⑤ムダの排除

 先ず第1は購買費削減です。
20%以上の削減を半年間で達成することが目標です。
儲からない原因は、高いものを買っているからです。
鉛筆一本、ストロー一本の価格から「正しい価格」を教えます。
そのために購入を打診する伺い書には普通レベル、グッドレベル、ベリーグッドレベルという3つの枠があり、各価格を記入するようになっています。
普通レベルはこの価格では収支トントン、グッドは営業利益が5%出る、ベリーグッドなら営業利益は10%出るという意味です。
この伺い書に慣れると、最初からグッドレベルの価格水準を目指すようになり、組織の中に絶対価格が浸透します。
1年あれば「正しい価格」になれ、原価が下がり、利益が出るようになります。

 第2は経費削減です。
一般経費は半減が目標です。
このためは1円以上の支出はトップ決済とし、定めた金額以上は使わないことにします。
何か買いたいという要望が出ると、これに代替できるもので社内に在庫のあるものはないか点検し、これを使います。
こうして月間60万円あった文具代は1年経つと1万円に減少しました。
月380万円使っていた交際費は半年で89万円と1/4に減少しました。

 第3は生産性の向上です。
人を切らないかわりに、1年間だけ年間総労働時間を10%延長すること、始業時間には仕事を始められるように15分前に出勤し、始業前の10分間で自分の回りを掃除すること、出勤率を89%から99%に向上することを組合と約束します。
これにより人件費負担は20%改善することになります。
会議などの付加価値を生まない仕事を減らすことも生産性のアップにつながります。
生産性の悪いところ程、会議が多いのは事実です。

 第4は清掃を軸にした5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底です。
日本電産では5Sを100点満点で評価します。
60点なら事業は黒字。
80点につけば最高益になるといいます。
当初は5点しかもらえませんでした。
5点というとゴミ溜めのような状況です。
油は散り放題、従業員の作業服は真っ黒というレベルです。
トイレも似たようなものです。
率先垂範を示すためにまず役員がトイレ掃除を始めました。
課長職以上が週末に集まり、半日使ってトイレを掃除します。
従業員に任せられる水準まできれいにしたうえで、従業員に当番制でトイレ掃除を担当させました。
「便器を自分で掃除すれば、その後きれいに使おうとし、人にもきれいに使ってもらいたいと思う。何か壊れているものを見ると、会社のものが壊れているという気持ちになり、ものを大切に使おうという気持ちが自然に芽生えてきます。」と従業員はいいます。
こうして8ヶ月後には50点をこえ、12ヶ月たつと70点近くまで到達しました。

 第5は1~4までの取り組みが本物になってくると、自然に達成されます。

 こうしてみると、このようなことはやろうと思えば出来ることだと思います。
ただそれを絶対にやるのだという強い気持ちをもって続けられるかどうかということがポイントだと思います。
徹底力が肝心です。
昨今経営成果がすぐれないところは、上記のような取り組みを実行すればキット良い結果が生まれるものと思います。

6月 6, 2008 2.チャレンジ |