女子ゴルフ…不動裕理〈12月〉
最近のプロゴルフは男子に比べて女子の方に人気があるようです。
男子プロが高校生の石川遼君一人に頼っているのに比べ、女子プロの方は若い娘が次から次へと現れて、優勝しており、男子に比べて格段に層の厚さを感じます。
今年の賞金女王は21才の横峯と上田の一騎打ちとなり、もはやオバサンプロの出番はなくなってしまったようです。
もう一つの女子プロ人気の原因は、出てくる娘が皆可愛いい娘が多いことです。
昔の女子プロは皆男みたいで、美人プロといわれた人も、今ならタダの人という位、女子プロに美人が多くなったように思います。
そんな若い娘の多い女子プロの中で,今やオバサンプロの一人となった不動裕理がガンバッテいます。
私も何故かこの不動が好きで、彼女が出ない試合はあまり見る気がしません。
最近はあまり調子が良くないので、ゴルフの試合を見るのも随分少なくなりました。
今年も2勝をあげ、優勝回数を42に伸ばしました。
岡本綾子(国内44勝)大迫たつ子(45勝)を抜くのも時間の問題です。
ゴルフは自分とコースとの戦いです。だから彼女は他者を意識しません。
でも今まで意識したのは宮里藍です。
自分が出場しなかった03年のミヤギTV杯で、宮里がアマチュア優勝したとき「プロは何をしているんだ」と歯ぎしりしました。
04年は開幕戦に勝ち快進撃をつづけ「藍ちゃん」一色に染められたにも拘わらず最終戦で2打差を逆転し、女王の座を守り、05年も宮里をかわして6年連続の賞金女王に輝きました。
宮里はこれまで14勝していますが、7勝は不動の出ていない試合で、最終日、最終組で優勝争いをして勝ったことがありません。
師匠だった清元は「不動の負けん気の強さは天下一品。攻める時は、ピン位置が危険でも絶対狙っていく」といいます。
デビュー以来11年間で予選落ちは12回ありますが、女王になった2000年以後では3度しかありません。
途中棄権も一度もありません。
不動の強さは練習から生まれたものです。
走るのは遅く、運動は大の苦手、体も硬く、他の競技には全く向きません。
でも研修生時代から不動は勤勉でした。
朝の掃除はいつも一番乗り、アプローチの練習を5時間続けていたこともあります。
プロテスト合格の翌年から熊本の清元澄子の自宅に住み込んで修業を積みました。
このことは以前のチャレンジで書いたことがあります。
(2006、6月号・VOL43 不動を育てた清元)
その頃の日課は想像を絶するものです。
朝5時半に起床し、40分間のランニングをします。午前9時から午後5時までは練習場で打ち込みをします。夕食後も週3、4日はジムで筋力トレーニングをします。
終わると夜のパター練習です。
パター練習では100球連続でカップインするまで寝るのはお預けです。
いつ休むのと聞くと「ボールを取りにいくときに休めるでしょう」と言います。
清元は「決して弱音を吐かなかった。我慢強さは相当なもの。一を言うと三、四は理解する非常に頭のいい子」だと言います。
2003年に前人未踏の年間10勝をマークし、清元から離れます。
言われるだけでは進歩がない。
自分で考えて行動することが必要な時期と考えたからです。
コーチ不在のまま今に至っています。
「今でもショットは不動に勝つ選手はいない。ヘッドでつかまえたときの球さばきはピカ一。米ツアーで定着すれば賞金ランク10位に入る」と清元はいいます。
しかし海外では謙虚で慎重な性格が裏目に出て、あまりパットしませんでした。
それは、「海外はコースも難しいし世界では無理、予選落ちも当たり前」と思っていたからです。
米ツアーの一つに数えられるミズノクラシックで好成績をあげても地の利があったからだと考えました。
外国選手に体格、飛距離で引け目を感じ、スタミナ、集中力もかなわないと考えていました。
気持ちで負けていました。
しかし、女王の看板を掲げながら海外のメジャー予選落ちが続いては格好がつきません。
昨年はメジャー4戦とも予選を通過し、ナビスコ選手権では日本勢最高の15位に入り、聖地セントアントルーズでの今年8月の全英女子オープンでも11位と翌年の出場権を獲得しました。
全英では4日間バンカーにつかまったのは一度だけで小技が光りました。
その結果「必死でやれば何とかなりそう、予選落ちはマズイと思うようになったら通るようになった。考え方で結果が大きく変わってくる」ことに気づくようになりました。
気持ちで負けていてはどんなに力があっても勝つことはできません。
今期はプレーオフで2度敗れ、2勝しかしませんでしたが彼女にはあせる気持はありません。
「今は我慢。こういう時期も勉強。自分にとって大切な時で、将来のゴルフにとってプラスになるのではないか」と思っています。
ここ数年ツアーで試合が終わっても会場に居残って遅くまで練習する選手が増えていますが、1日の試合が終わっても、会場で最後まで黙々と練習する不動を見習ったからだといいます。
宮里もデビュー当時、不動が練習グリーンを去るまでコースを引き揚げませんでした。
ゴルフもまた練習による努力と、勝つという強い精神力に支えられたスポーツということになるようです。